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FIT新ルール「太陽光発電は運転開始が遅れると買取価格減額、家庭用は認定失効」

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FIT新ルール「太陽光発電は運転開始が遅れると買取価格減額、家庭用は認定失効」

経済産業省は、固定価格買取制度(FIT制度)において、太陽光発電の未稼働案件の発生防止に向けた新たな仕組みとして、認定取得後の早期運転開始に向けたインセンティブを設ける。認定取得から運転開始までの期限を設定し、期限を過ぎた場合は買取価格を下落させるなどの対応を講ずる考えだ。本年8月1日以降に接続契約(工事費負担金契約まで)を締結する案件を対象に対応を実施する。

FIT制度の見直し等を行う改正FIT法が、5月25日に国会で成立した。同省は、7日に開催した再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会(第9回)で、2017年4月1日の改正FIT法の施行に向けた詳細ルール等について方向性を示した。

今回、同省資源エネルギー庁より、「FIT制度見直しの詳細制度設計等」と「再生可能エネルギーの導入拡大に向けた施策の方向性」についての資料がそれぞれ提示された。FIT制度見直しの制度設計において、新たな未稼働案件の発生防止に向けた仕組みが検討されている。

どう防止する、未稼働案件

新制度において買取価格の決定は認定取得時としているが、運転開始まで長期間を要する場合、買取価格設定の際に想定したコストと実コストとの乖離が生じる。当面は、時間が経過するにつれて、その乖離が大きくなっていく太陽光発電を対象に、早期運転開始に向けたインセンティブを導入する。

運転開始期限については、認定から運転開始までの期間の実データ等を考慮し、事業用太陽光では3年、住宅用太陽光で1年とする。なお、認定の経過措置対象となる案件については、みなし認定に移行した日(平成29年4月1日等)から運転開始までを一定の期限の対象とする。

運転開始期限を超過した場合の対応として、事業用太陽光については、運転開始遅延による利益を発生させないよう、期限を過ぎた場合、認定時の価格から買取価格を毎年一定割合(例:年5%)下落させるか、買取期間を短縮させる。系統事由等、個別の事情は考慮しない。買取価格の入札対象の事業用太陽光については入 札参加要件などを定める入札実施指針の議論を経て対応を決定する。住宅用太陽光は系統事由は発生せず、速やかな運転開始が期待できることから、期限内に運開できない場合は、認定を失効する。

10年以上遅れて稼働する事例も

10年以上遅れて稼働する事例も
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また、土地・設備の確保に関する270日ルールについては、認定の自動失効ではなく、取消し事由とすることや、設備の変更に伴い新しい認定を求め、買取価格を変更させる仕組みは新制度以降は適用しないことも盛り込まれている。

パブリックコメントも実施予定

改正FIT法は、来年4月1日を施行日と法律上定めており、施行に向けた詳細ルールを速やかに決定・公表することが重要である。そこで、前回の議論に引き続き、本改正法の運用(主に省令事項)に関する主要論点について、現在の検討状況を報告している。本委員会の議論を踏まえた上で、省令案に関するパブリックコメントの手続を早急に開始する。

本資料では、「新たな未稼働案件の発生防止に向けた仕組み」のほか、「新認定制度の申請手続」、経過措置において現行制度で認定を受けた案件で一定の条件を満たす場合、新認定を受けたものとみなす「みなし認定案件の取扱いについて」、「送配電買取における小売電気事業者への引渡し方法」、「公平・効率的な出力制御」、「減免制度の見直し」等についてまとめている。

再エネ導入拡大の施策、方向性は

FIT法改正においては、(1)コスト効率的な導入・リードタイムが長い電源の予見可能性の向上を図る価格決定方式、(2)長期安定発電を促す新たな認定制度等が盛り込まれた。

他方、ポストFITに向けた再生可能エネルギーの長期安定的な発電・自立化に向けては、FIT法改正や、電力系統対策といった電源横断的な施策のみならず、各電源毎の特性と課題に対応して、研究開発、規制改革、地域・産業の基盤整備といった、各種の施策を総合的に実施していく必要がある。資源エネルギー庁から発表された資料では、その施策の方向性についても示されている。

ポストFIT見据え、VPP構築の実証事業スタート

太陽光発電については、FIT制度により10kW以上の事業用を中心に急速に導入が拡大する一方、(1)高い買取価格での大量導入による国民負担の急増、(2)不十分な設計施工・メンテナンス、(3)立地地域とのトラブル等が課題となっている。これらの課題を克服し、太陽光発電が地域と調和した形で導入され、買取期間終了後を含めて安定的に発電を継続し、早期にFIT制度に頼らない自立的な導入が拡大するよう促していく。

今般の改正FIT法においては、(1)目標価格の設定や、入札制等の新たな価格決定方式の採用によるコスト効率的な導入、(2)安定的な発電事業の継続に向け、発電事業者の事業計画の提出・遵守を求める新認定制度が盛り込まれた。

この着実な実施に加えて、以下の施策を総合的に実施していく。

  1. 高コスト構造の課題を分析し、その解決に向けた研究開発等の推進
  2. 長期安定発電を実現する制度面・体制面の整備
  3. FIT終了後(ポストFIT)を見据えた、太陽光発電の導入促進(ZEH・VPP)

ポストFITに向けた太陽光発電の導入では、各地に太陽光発電が大量に導入される中、分散型電源と大規模集中型電源を協調させ、需給のバランスを取るエネルギーシステムを構築することが課題となる。

このため、太陽光発電設備や蓄電池等のエネルギー設備や、デマンドリスポンス等の需要家側の取り組みを統合的に制御(エネルギー・リソース・アグリゲート)し、あたかも一つの発電所のように管理していく取り組み(バーチャルパワープラント:VPP)により、太陽光発電の変動を吸収しながら、一層の普及拡大を図ることが有効な方策の一つと捉えている。VPPの構築に向け、今年度より実証事業等を実施し、導入に向けての課題の検討を進めていく。

【参考】
経済産業省 - 再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会(第9回)
経済産業省 - 新エネルギー小委員会(第16回)

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