まだできる省エネ! 補助金や政策、最新動向を経産省が解説

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企業経営で環境への対応がますますシビアに求められるなか、対応策のひとつ『省エネ』について補助金や最新動向を紹介する『2020年度 省エネルギー政策動向 製造業に求められる環境経営』が9月27日に開催された(主催:日本ビジネス出版)。

当日は、資源エネルギー庁省エネルギー課の牛来 博哉氏が『省エネルギー政策の展望と事業者に求められる対応』をテーマに講演。多くの企業が高い省エネ水準を達成しつつあるなか、国と企業には何が求められ、今、何ができるのかを解説した。

経済成長と省エネを同時実現した日本、しかし…

図1

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日本は経済成長と省エネを同時に実現し、世界でも高い水準の省エネを達成している。しかし、2015年7月に決定された『長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)』では、『2030年度に最終エネルギー需要を対策前比5030万キロリットル程度削減』すると示された。これに向けては、産業・業務部門等におけるさらなる省エネ促進が必須。その実現には、オイルショック後並みのエネルギー消費効率の改善(-35%)が必要とされるのだ。

資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課課長補佐の牛来 博哉氏は「省エネ対策は、今までも十分に取り組まれてはいます。しかし、エネルギーをめぐる状況としては、そのほとんどを輸入に頼っており、今後も徹底した省エネを進めるべく、政策を打つ必要があります」と話す。

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部  省エネルギー課課長補佐(法令・制度設計担当) 牛来 博哉氏
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部
省エネルギー課課長補佐(法令・制度設計担当)
牛来 博哉氏

そもそもオイルショックを契機に1979年に制定された省エネ法は、数年おきに改正され、その度により一層の省エネを求めてきた。例を挙げると、省エネ法の工場・事業場規制では、年度のエネルギー使用量が1,500キロリットル以上の事業者に対し、エネルギーの使用状況などの定期報告の義務が課されている。評価基準としては、エネルギー消費原単位の年平均1%以上の改善を指標としている。

また、特にエネルギーを多く使う業種には『ベンチマーク制度』を導入。業種・分野別に中長期に目指すべき水準(ベンチマーク)を設定している。この制度は製鉄業などの産業部門からスタートし、現在はコンビニやホテルなどの業務部門にまで拡大。15業種19分野に制度導入済みとなっている。

これら『1%目標』と『ベンチマーク制度』を用い、政府は事業者をS・A・B・Cにクラス分けしている。Sクラスは優良事業者として経産省ウェブサイトで事業者名や連続達成年数を表示している。他方、Bクラス以下には注意文書の送付や指導を実施。

「Sクラスに対しては優遇措置の準備もしております。また、クラスに応じたメリハリのある対応をより強化しています」

図2

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また、使用者に対する間接規制の面では、機器・機材の『トップランナー制度』を導入。機器や建材メーカーなどに対し、機器等のエネルギー消費効率の目標を示して達成を促すとともに、エネルギー消費効率等の表示を義務化。現在、対象機器は32品目に拡大しており、家庭のエネルギー消費の約7割をカバーしている。

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