環境用語集 エコキュート
エコキュート(自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯器)とは
エコキュートの仕組みと特徴
エコキュートとは、ヒートポンプ式の電気給湯器のうち、「自然冷媒式」あるいは「CO2冷媒式」と呼ばれる仕組みを持つものを指す。ヒートポンプではまず、冷媒に大気中の熱を吸収させ、それをさらにコンプレッサーで圧縮して高温にして、その熱を熱交換機で水に伝えることで約90℃の湯を作り出す。冷媒は熱を奪われるため、再び熱を吸収できる状態となり、循環するという仕組み。エコキュートの場合、この冷媒にCO2が用いられているのが特徴。
エコキュートの利点は、使用する電気エネルギーに対して約3倍以上の熱エネルギーが得られるというエネルギー効率の高さと、安価な夜間電力を用いることにより都市ガス給湯器の約1/6に抑えられる給湯コストの低さ。
また、エコキュートは、お湯を沸かす「ヒートポンプユニット」と、お湯をためる「貯湯タンクユニット」で構成されている。貯湯タンクには300~550Lまで容量に幅があり、家族構成や使用する湯の量をもとに選ぶことになる。
エコキュートの欠点
ガス給湯に比べ、給湯設備が大がかりになるため、広い設置場所を確保する必要がある。また、補助金制度を活用できるものの、初期投資がかかってしまう点もデメリットとして挙げられる。
ただ、エコキュートは省エネ性能が高いため、光熱費の削減分を考慮すると初期投資を数年で回収できるとされている。スペースの問題に関しては、ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットを一体化した省スペースタイプのエコキュートも発売されている。
エコキュートの性能・仕様について
年間給湯効率(APF)年間給湯効率(APF)は、給湯器を運転した時の、単位消費電力量あたりの給湯熱量を表した指標。消費者の使用実態を考慮に入れた給湯効率となっており、日本冷凍空調工業会の規格であるJRA4050:2007Rに基づき、一定の条件下※で測定された値である。エコキュートの場合は、省エネモードである「おまかせ節約」で測定した数値のため、実際には地域や使用条件などによって変動する。
年間給湯効率=1年で使用する給湯に必要な熱量÷1年間で必要な消費電力量
※東京・大阪を平均した気象条件・給水温度で42℃のお湯を約425L/日使用する条件などを想定。
貯蔵容量
エコキュートは沸かした湯をタンクに貯めてから使うシステムになっており、湯が足りなくなると新たに給湯を行い余分な電気代が発生してしまう。そのため、実際に使うと想定される湯量よりも大きいタンクを選ぶのが適当と考えられる。
タンク容量(L) | 人数 | 使用湯量の目安 |
550 | 5~8人 | お湯はり1回 シャワー7回程度 5~8名家族で通常使う洗い物や洗面など のお湯使用分。 |
460 | 4~5人 | お湯はり1回 シャワー5回程度 4~5名家族で通常使う洗い物や洗面など のお湯使用分。 |
370 | 3~4人 | お湯はり1回 シャワー4回程度 3~4名家族で通常使う洗い物や洗面など のお湯使用分。 |
300 | 2~3人 | お湯はり1回 シャワー3回程度 2~3名家族で通常使う洗い物や洗面など のお湯使用分。 |
フルオート・セミオート
フルオートには追い炊き機能が付いており、お湯の温度が一定よりも下がった場合、自動的に足し湯を行うことで温度の調整を行う。セミオートの場合はこの機能がついていないため、手動で行うことになる。セミオートの方が不便といえるが、経済性の面では、必要な時だけ足し湯を行うなどの対応ができるため、有利だと考えられる。
エコキュートの製造メーカー一覧
コロナ、三洋電機、ダイキン工業、タカラスタンダード、長府製作所、東芝キヤリア、ハウステック、パナソニック、日立製作所、三菱電機 (50音順)
お湯の使用状況にあわせて沸き上げを行う「学習機能」の搭載や保温性能を高めたタンクなど、各メーカーが省エネ性能などを向上させた機種を開発しており、2015年1月、日立アプライアンスはウレタン発泡充てん構造の貯湯ユニット「ウレタンク」を採用した業務用エコキュートを発表した。また、エコキュートは高効率給湯器として平成26年12月からの省エネ住宅ポイント制度(住宅エコポイント)の対象にもなっている。そのほか、エコキュートに補助金を支給している自治体もあり、環境ビジネスオンラインでは補助金情報を毎年調査・掲載している。
(NEDO 実用化ドキュメント 空気の熱でお湯を沸かすエコキュートとは? より引用)