木質ペレット

木質ペレットとは、間伐材や製材端材などの木質原料を粉砕・乾燥し、高圧で円柱状に圧縮成型した固形バイオマス燃料のこと。
均一な形状と高いエネルギー密度を持ち、貯蔵や自動給鉱などのハンドリング性に優れる。燃焼時の二酸化炭素排出が成長過程の吸収量と相殺されるカーボンニュートラルな特性を持ち、従来主流であったストーブやボイラーの熱利用に加え、近年は発電用燃料としても広く用いられている。
木質ペレットの原料による分類と品質基準
木質ペレットは、成型時に木材成分であるリグニンが熱によって軟化・固着するため、一般的に接着剤などの化学添加剤を用いずに製造される。使用する木材の部位や原料構成により、主にホワイトペレット、全木ペレット、バークペレットの3種類に大別される。
木部のみを原料とするホワイトペレットは灰分が少なく発熱量が高い。全木ペレットは樹皮を含めた丸太全体を用い、バークペレットは樹皮を主原料とするため灰分が多くなる傾向がある。燃焼機器の目詰まりや有害成分の発生を防ぐため、塗料や防腐剤などの化学処理がされていない無垢材を原料とすることが基本原則とされている。
発電利用の急拡大と輸入依存の実態
国内の需要構造は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)およびFIPの導入に伴い、熱利用主体から大規模なバイオマス発電燃料へと大きく転換した。
国内生産量が年間15万〜16万トン程度で横ばいに推移する一方、大型バイオマス発電所の稼働に伴って燃料輸入量が急増。2024年の輸入量は約638万トンに達しており、ベトナムやカナダ、アメリカなどを主要調達先としている。国内消費の大半を海外からの輸入に依存しており、国内自給率は数%にとどまる構造となっている。
持続可能性基準とライフサイクルGHG排出規制
燃料需要の急拡大に伴い、原料原産地での森林減少や違法伐採を防止するため、調達における環境・社会面の持続可能性(合法性)確認が厳格化されている。FIT/FIP制度においては、FSC認証制度やPEFC(汎ヨーロッパ森林認証)をはじめとする第三者森林認証の取得や、確実なトレーサビリティの証明が義務付けられている。
さらに、ペレット製造時の乾燥・成型工程や長距離海上輸送時の化石燃料消費に伴う排出を評価する、ライフサイクルGHG(LC-GHG)排出基準が導入された。発電に伴う排出量上限として、2029年度までは化石燃料対比で50%削減(90 g-CO2eq/MJ電力以下)、2030年度以降は70%削減(54 g-CO2eq/MJ電力以下)が設定されている。2024年4月には林野庁のガイドラインが改正され、サプライチェーン全体を通じたGHG関連情報の管理・伝達体制の整備が進められている。
木質ペレットの調達リスクと利用方針の転換
海外調達に依存する発電事業では、海上運賃や為替変動、海外製造大手の経営破綻などに起因する燃料価格の高止まりや供給不安定化が顕在化している。加えて、長距離輸送を伴う輸入ペレットは2030年度以降の厳格なGHG排出基準をクリアできない懸念があり、製造拠点での脱炭素電力活用など上流工程での対策が実務上の課題となっている。
制度面でも、資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において、輸入木質ペレット等を主燃料とする1万kW以上の大規模案件について、2026年度以降は新規のFIT/FIP支援対象から除外する方針が示された。2027年度以降は50kW以上の新規認定がFIPへ原則一本化される流れもあり、今後は遠隔地からの燃料輸送を前提とした大規模専焼発電から、国内資源を活用した産業用熱利用や地域熱電併給(CHP)、木材のカスケード利用といったエネルギー効率の高い形態への回帰が求められている。
参考
- 資源エネルギー庁 ― 事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)
- 林野庁 ― 木材輸入の状況について
- 林野庁 ― 発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン
注目情報(PR)
この記事にリアクションして1ポイント!
(※KAIGI ID登録でポイントを貯められます)













