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大型蓄電システム実証の成果レポート 再エネ発電の出力変動緩和に効果

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新エネルギー導入促進協議会(NEPC/東京都豊島区)は5月24日、東北電力(宮城県仙台市)・北海道電力(北海道札幌市)・住友電気工業(大阪府大阪市)が、風力発電太陽光発電の普及拡大に向けた系統安定化に向けた取り組みとして実施している、大型蓄電池を活用した実証事業についての、2016年度成果概要をとりまとめ発表した。

同事業は、NEPCが公募を実施する「平成24年度大型蓄電システム緊急実証事業(平成28年度)」に採択され実施されたもので、再生可能エネルギーの導入可能量の最大化を目指し、一般電気事業者の大型変電設備に接続する形で大型蓄電池を設置し、その制御および管理を行う、系統用大型蓄電システムの開発・実証を行うことを目的としている。

実証テーマA、Bそれぞれの成果概要は下記の通り。

テーマA「西仙台変電所周波数変動対策蓄電池システム実証事業」

  • 事業者名:東北電力
  • 設置場所:宮城県仙台市

再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を目指し、気象条件で出力が変動する風力発電・太陽光発電の普及拡大による周波数変動対策の新たな取り組みとして、東北電力の西仙台変電所に大規模蓄電池システム(出力2万kW、容量2万kWh)を設置し、系統用蓄電池システムの最適な制御・管理技術を開発・確立する。

実施概要

  1. 蓄電システムによる周波数制御効果の継続的な検証、評価
  2.     
  3. 再生可能エネルギーの導入拡大効果の定量評価
  4.     
  5. 蓄電池システムの運転ロス、蓄電池寿命の経時変化傾向の確認

上記1については、蓄電池の稼働時間と非稼働時間を、約1週間単位で交互に切り替え、制御実績データを取得した。蓄電システムの稼働日と非稼働日における必要調整量(AR)の比較結果から蓄電システムの制御対象領域におけるARが、蓄電システムの稼働に伴い減少することを確認した。

2については、実績データに基づくシミュレーションを用いた評価方法について、基礎的な検討を行った。

3については、定期的に蓄電池の容量・効率測定を実施し、蓄電池システムの総合効率、蓄電池容量の経時変化傾向が設計仕様を満たしていることを確認した。

今後、2017年度まで蓄電システムの最適制御および管理技術の開発・確率に向け、実証試験が進められる予定だ。

テーマB「南早来変電所大型蓄電システム実証事業」

      
  • 事業者名:北海道電力、住友電気工業
  •   
  • 設置場所:北海道勇払郡安平町
蓄電池建屋外観

蓄電池建屋外観

北海道電力の南早来変電所に出力1.5万kW、容量6万kWhのレドックスフロー電池を設置し、蓄電池設備の性能確認および性能評価を行うとともに、風力や太陽光発電の出力変動によって電力系統に生じる影響を緩和し、かつ効率・寿命の最大化を図るような系統用蓄電池の最適な制御・運転技術を開発し、実証を行う。事業期間は2013年7月~2019年3月。

2016年度の実施状況と成果は、下記の通り。

実施概要

  1. レドックスフロー電池の性能評価
  2.     
  3. 蓄電池制御・運転技術の開発

1における蓄電池性能経時変化評価

バンク単位での容量試験、効率試験を実施し、2015年度の現地調整試験で実施した同試験結果と比較し、同等の性能を有し、顕著な劣化が認められないことを確認した。

1における蓄電池の性能向上の検討

補機制御最適化については、システム効率向上を目的に、主たる補機動力であるポンプの運転パラメータを検討し、SOC(充電量)および出力に対する最適なポンプ回転数の検討を実施した。検討結果に基づき定格出力でのシステム効率を測定し、効率向上を確認した。

1における保守性評価

月次、年次点検等を実施し、設備の健全性を確認した。また、保守コスト低減について検討した。

2における蓄電池制御システムの実証

蓄電池制御システムの「短周期変動抑制制御」について、2015年度に引き続き各制御方式単体・組合せでの機能確認および実系統での制御効果の確認を目的とした実証試験を実施し、制御ロジックの改良項目抽出および改良を行った。

同制御システムの「長周期変動抑制制御」については、各制御方式単体・組合せでの機能確認を目的とした実証試験を実施し、制御ロジックの改良項目抽出を行った。

また「下げ代不足対策運転」については、各制御方式単体・組合せでの機能確認を目的とした実証試験を実施した。

さらに「短・長周期ハイブリッド制御」については、短・長周期変動抑制制御の組合せでの動作確認試験を実施した。また、システム効率向上や電池出力を最大限有効に利用することを目的とした実証試験を長周期変動抑制制御の下で実施した。

2における風力太陽光発電出力予測システムの検証

同システムの予測精度検証については、発電予測システムの予測を用いて本事業の蓄電池設備で制御可能な風力・太陽光発電の規模をシミュレーションで確認し、各発電所で本制御を実施するために必要となる蓄電池出力・容量を確認した。

また、気象・発電量予測システムの予測精度検証を行い、同研究における精度目標値を設定した。発電所パラメータ作成方法の高度化を検討し、多くの発電所の予測精度が改善出来ることも確認した。

さらにアンサンブル気象予測を用いた信頼区間導出手法の検討を行い、全道合算予測において信頼区間幅を狭めつつも十分な滞在率を確保することができた。

気象急変時分析では、風力発電所および太陽光発電所の発電出力実績値および気象観測値を元に急変現象を抽出し、事前検知の可能性について検討した。

2における再生可能エネルギー導入可能量引上げの見通しの検討

同項目の検討については、同事業で開発した制御の最終評価指標となる再生可能エネルギー導入可能量の引上げ見通しの評価方法を整理し、そのうち周波数変動面の評価については、実系統で機能確認を行った蓄電池制御モデルを周波数制御シミュレーションに組み込み、実証試験の再現および代表ケースを用いた導入可能量の試算を行った。

また、需給調整面での評価については、評価方針の検討を行った。また、系統用蓄電池の導入に向けて、風力導入量と蓄電池必要量の傾向を確認するためにシミュレーションを実施し、風力導入量に合わせて蓄電池の制御方法を変更する必要があることや、電源構成によって蓄電池必要量が異なることなどを確認した。

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