> コラム > 固定価格買取制度の舵取りを考える
再生可能エネ、発電量の真実

固定価格買取制度の舵取りを考える

中村 有吾

記事を保存

「順調な滑り出し」だが…

環境ビジネスオンラインでも既報の通り、2012年8月末現在の固定価格買取制度認定設備の総容量が1.3GWに達した。資源エネルギー庁は現状を「順調な滑り出し」と評している。特に、非住宅用太陽光(725MW)、風力(262MW)は、これまでの施策で導入が進んでいなかっただけに、買取制度の効果が具体的に表れた形だ。今後、現行の買取価格が適用される来年3月末に向け、認定件数・容量は大幅に伸びることとなろう。

導入拡大に伴って、必要となる財源も増えていく。これまでの太陽光発電余剰買取制度では、コストは電力消費者から「太陽光付加金」として事後に回収されてきた(今年度は2010年分の0.03~0.15円/kWh、単価は電力会社により異なる)。これが、固定価格買取制度導入にあたって「再エネ賦課金」として事前回収されることとなった。今年度は、一部例外を除き全国一律で0.22円/kWhで、7月分の電気代から新たに請求されている。一般的な家庭の電気代が1%弱上がったことになる。

資源エネルギー庁は、この0.22円/kWhの前提として、来年3月末までの導入容量が計2.5GWとなると試算している。既に1.3GWの設備認定が行われ、既存設備も認定も進むことから、2.5GWは簡単に突破しそうな勢いだ。

舵取りの難しい制度

実は、固定価格買取制度は、舵取りの難しい制度だ。特に、太陽光のように、コストが他の技術と比べて高く、一方で、急激に低下してきているものについては、買取条件の柔軟な見直しが、「少ない負担で大きな効果」を達成するための鍵となる。また、20年にも渡る長期間の買取を約束するため、将来買取価格を大幅に下げても、電力消費者の負担は同じペースでは下がらない。スペイン・イタリア・ドイツを例に、買取制度の運用と、太陽光発電拡大の経緯を見てみよう。

  • まだ会員登録されてない方

    新規会員登録無料
  • 既に会員登録されている方

    ログイン

会員登録3つの特典

再生可能エネ、発電量の真実 バックナンバー

この記事の著者

中村 有吾氏
中村 有吾(なかむら ゆうご)

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのリード・アナリスト兼東京支社マネージャー。出光興産にてLPガスの消費者安全・機器販売施策の推進担当を皮切りに、多くのエネルギー関連業務を歴任。石油製品貿易、国際石油市場分析、排出権事業、温暖化対応戦略企画等の幅広い経験を持つ。その後、世界銀行、RNK Capitalにおいて、エネルギーおよび排出権関連の複数の国際的プロジェクトを担当。2010年にブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス東京支社を開設。以来、「日本の再生可能エネルギー市場見通し」、「日本の再生可能エネルギーコスト分析」、「固定価格買取り制度の導入に進む日本」等のレポートを執筆している。


・早稲田大学卒、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院
 国際公共政策修士
・CFA協会認定証券アナリスト



ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスは、世界のクリーンエネルギー分野を分析する独立系調査会社。再生可能エネルギー、エネルギースマート技術、排出権市場などを網羅的に分析する約200名の専門家グループから構成され、有力な投資家、企業および政府関係者などに対してニュース、データ、リサーチを提供している。

 分析の結果は、資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会において、再生可能エネルギー固定買取価格を決定する際の参考資料として引用されるなど、独立かつ有益な情報源として各方面で活用されている。世界各国(ロンドン、チューリッヒ、ワシントンD.C.、ニューヨーク、サンフランシスコ、東京、北京、ニューデリー、シンガポール、香港、シドニー、ケープタウン、サンパウロ)の拠点にスタッフを配置している。

記事を保存

環境セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.