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2013年、グローバル化が不可避な製品に求められる環境指標とは

環境ビジネス編集部

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化学製品を取り扱う業界では、従来から生産・販売する製品の使用時の安全性やリスクを対象として管理されてきた「化学品安全」という取り組みがある。しかし現在、この安全性・リスクの管理を、製品のみならず原料、成分や副生物なども含め、ライフサイクル全段階に対象を拡大した「化学物質総合管理」という新しい潮流が国際的にも求められている。

三井化学株式会社は、同社の取り扱う製品において、この「化学物質総合管理」の実践を目的とし、「リスク評価の実施」、「環境影響評価技術・基準の確立」、「情報の開示」の3つを基本戦略とする「化学物質マネジメント戦略」を進めている。

生産・技術本部化学品安全センターに所属する深谷将世さんは、この戦略に基づく、製品ライフサイクルにおける環境影響評価技術の確立という課題に挑む過程で、LCAエキスパート検定を取得した。

三井化学株式会社「化学物質マネジメント戦略」の基本概念、「化学物質総合管理」。

三井化学株式会社「化学物質マネジメント戦略」の基本概念、「化学物質総合管理」。
既に海外ではこれをベースにした法的な動きが始まっている。

実務に役立つLCAエキスパートの知識

深谷さんがまずLCAの対象として選定したのは、ディーゼルエンジンから排出されるNOx(窒素酸化物)を除去する尿素SCR(選択触媒還元)システムに使用される尿素水「アドブルー」。三井化学の代表的なエコ製品だ。

環境影響評価技術の確立のためには、同社のお客様、そしてそのお客様である一般消費者や社内・社外関係者にも伝えやすい評価対象製品のLCAシナリオ作りが何よりも大切という深谷さん。LCAエキスパート検定の試験では、こういった重要なポイントも押さえられているという。

また、LCAの実施には、様々な機関からデータの提供を依頼する事が多い。そういった際、名刺のLCAエキスパートという肩書きが目に留まると「このLCAエキスパートとは何ですか」、「深谷さんも検定取得されたのですね」といったように、話のきっかけとして活躍する事が多いという。

「こちらの目指している仕事内容が伝えやすくなり、頼みごともスムーズに進むんですよ」と、深谷さんは言う。

三井化学株式会社 生産・技術本部化学品安全センター 深谷将世さん

三井化学株式会社
生産・技術本部化学品安全センター
深谷将世さん

検定試験会場には大型簡易型電卓を

LCAエキスパートの過去問題は非公開のため、合格するために工夫した点は、普段の実務で慣れている計算問題に重点をおいた時間配分を試験開始直後に判断したこと。基礎概要などは実は自信がなかった。

反省点は小型の関数電卓を持参してしまい、電卓操作に時間がかかってしまっていたこと。

これから受験する人には、一般的な大型簡易型電卓を使うことを勧めたいという。

グローバル化がLCAのニーズを後押しする

現在、欧州委員会は気候変動、人体影響、資源利用、土地利用など14種類の環境影響領域を網羅し、製品同士の比較可能性を重視した総合的な環境影響評価制度、「環境フットプリント制度」の整備を進めており、導入される見込みだ。

グローバル化により次々と国境の垣根が取り払われていくなか、欧米諸国と競合する事業展開の場であるアジア等も含めた世界規模で、雪だるま式(指数関数的)に製品・組織の環境性能向上という要望の高まりが加速している。

日本の産業界が環境影響評価技術をもち、この潮流に対応するためには、専門知識を有する、より高度な人材の育成が必要となるだろう。LCAエキスパートの今後には、ぜひより高度な人材育成のための上級試験の創設を期待していると深谷さん。

いま、ライフサイクル・アセスメントの専門家へのニーズが高まり始めている。

深谷将世さんが所持するその他の資格

・危険物取扱責任者(甲種)

・高圧ガス取扱責任者(甲種・化学)


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この連載について

『環境ビジネスの現場』
成長産業となった環境ビジネスの現場で活躍するプロフェッショナルは、どこで悩み、どんな製品や仕事があるのか、働くプロフェッショナルに編集部がお会いしていくことで、新しい産業で芽生えつつある新しい職業観を追いかけていきます。

【LCAエキスパート検定試験とは】
LCAについての専門性・技量等において一定の力量を有しているかどうかを評価し、LCA実務者として認定する。第4回試験の申込締切は、平成25年8月9日(金)まで。詳しくは社団法人産業環境管理協会のウェブサイト(http://www.biz.jemai.or.jp/lca-kentei/)でご確認下さい。
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