まだまだ発展途上である環境ビジネス業界人と編集部が会って、「どのような情熱エネルギーを胸に、どんな仕事をして、また今後どういう仕事に取り組もうとしているのか」をお聞きする連載コラム「環境ビジネスの現場」。
6人目の情熱業界人は、日本空調サービス株式会社FM管理部TECSチームに所属している大畑博紀さんだ。FMとはFacility Management、つまり設備管理のこと。大畑さんは現在、病院や医療研究施設などの環境診断に、第一種作業環境測定士として携わっている。
人が快適に暮らせる環境を作り出す仕事

FM管理部TECSチーム
大畑博紀さん
大学院生時代の専攻は、化学工業において必要とされる様々な装置や操作についての研究をする化学工学。将来は水や空気に関する仕事がしたいと考え、大畑さんは水処理、大気汚染処理の工業モデリングやデザインの研究をしていた。
その頃から、環境の仕事に興味を持っていたが、環境の仕事といっても、地球や自然を守るような仕事だけではなく、人が快適に暮らせる環境を作り出すような仕事を探していた。
研究室の仲間達はプラントエンジニリングや、工業デザインという方面に就職していくなか、病院や結核病棟といった特殊施設の空気中に含まれる化学物質の濃度や評価で実績を持つ同社と出会う。
普通のビル設備メンテナンス会社なら、機械保守や設備工事といった、電気や機械系出身者が中心に集まる中で、ビル設備メンテナンス会社としてサービスの提供を行いながらも、化学分野に強みを持った同社に強く惹かれたと大畑さん。
需要の高まる作業環境測定士
そもそも作業環境測定士とは、有害物質を取り扱う作業場において、労働者の健康を守るため、「作業環境測定」を実施する者、とされている。
2008年、労働安全衛生法の改正により、この作業環境測定の対象にホルムアルデヒドが追加された。病院や病理研究所などではホルムアルデヒドを扱う事が多く、半年に1回の作業環境測定が必要となった。
さらに、同改正により換気装置の設置も義務付けられたため、もし作業環境測定の結果に問題が見つかれば、局所換気装置などの設備の見直し、施工、その後のメンテナンスまで請け負う同社の事業にとっては、受注拡大のチャンスとなる。
もともと、同社は病院や病理研究所などの医療研究施設、RI施設※のような特殊施設向けに、空調設備や医療排水設備などの設備保守メンテナンス要員として、エネルギー管理士が多く所属していたが、この法改正により、ホルムアルデヒド対策のための人材育成にも力を入れ始めたのだった。
そうして、入社二年目で大畑さんも作業環境測定士を取得することになった。
「受験資格には労働衛生に関する実務経験が必要だが、大学卒程度の分析化学の知識と、衛生管理者としての知識があれば受かるのでは」と大畑さん。
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