環境ビジネスの現場

CFPのシステム認証にLCAエキスパートの資格所持者が推奨条件に

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2012年11月、凸版印刷は民間企業で初めてカーボンフットプリントのシステム認証を取得した。CFPの算定・検証・登録を行うシステムを社内に構築するこの認証方式では、LCAエキスパートが重要な役割を果たす。今回は前回に引き続き、LCAエキスパートに注目する。

CFPシステム認証の内部検証員

CFPマークとCFP登録製品。企業としてCFPに継続的に取り組むため、凸版印刷はCFPシステム認証を取得した。
CFPマークとCFP登録製品。企業としてCFPに継続的に取り組むため、凸版印刷はCFPシステム認証を取得した。

カーボンフットプリント(Carbon Footprint of Products、以下CFP)とは、商品やサービスのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算し、表示する仕組みだ。2009年度より3年間、経済産業省による試行事業として国の制度が整えられ、2012年度より民間運用が開始した。

CFPには、製品・サービスごとに第三者機関による検証を行う「個品別検証方式」と、2012年度から新たに始まった、自社内でCFPの算定・検証・登録を行うシステムを構築し、そのシステムを第三者機関が検証する「システム認証方式」の2種類がある。

凸版印刷でも、これまでは1製品ごとに申請し外部機関の検証を受けていた。しかし、多品種生産を基本とする印刷業では、印刷物の内容や仕様が決まってから短期間でCFP算定に取り組む必要がある。受注産業である印刷業は、顧客の要望対応のために試行期間中から多くの企業がCFPに取り組んでいたが、CFPの対応が印刷会社にとって負担となることも多かった。

同社ではCFPに対応できるスピードを確保するために、企業としてシステム認証を取得することを決めた。この「システム認証方式」では、信頼性を担保する「内部検証員」の力量が最も重要な項目の一つとされており、2012年7月、その検証員の力量を示す推奨条件の1つに追加されたのが、「LCAエキスパート検定」だ。

2009年の入社以来、高宮さんは本社の環境部門としてCFP制度に対応する社内体制作りに取り組んでおり、2011年の2月に力試しでLCAエキスパート検定を受け合格していた。このため、今回のシステム認証取得では社内唯一の「内部検証員」という立場で、CFP民間移行後初のシステム認証取得に貢献することができた。

同社では、このシステム認証を利用して自社印刷物にマークを表示するだけでなく、顧客企業から請け負う各種印刷物についても、CFP登録・公開するサービスの提供を検討していくという。

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