住宅用蓄電池は東日本大震災以降、補助金などの経済的支援を追い風に導入が進んできた。卒FIT後の太陽光発電による電力の自家消費を促すソリューションとしても注目されているが、普及の状況は? 電気料金が上昇するなかでのコスト面などの課題や普及のためのポイントとは? 再エネ電力事業の最前線で立上げ・運営をリードした小嶋 祐輔氏がポイントを解説する。(連載第7回)
東日本大震災以降、補助金による経済的支援により導入されてきた
住宅用蓄電池は、2011年度からの「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金」、2017年度からの「需要家側エネルギーリソースを活用したVPP構築実証事業費補助金」 といった経済的支援を追い風に導入が進んできた。
2019年からは、FIT(固定価格買取制度)の保証期間が満了となるものが多く出始めた。これにより、太陽光発電による電力の自家消費を促すソリューションとして住宅用蓄電池に注目が集まり、徐々に補助金がない形でも導入が進むようになってきている。ただ、住宅用蓄電池の普及に対する影響は限定的であった。新たに卒FITになる太陽光発電を設置する戸数は日本全国で20万件程度(全世帯数の0.4%程度) であり、また消費者情報の入手が難しく、事業者による営業活動が困難であったためである。