エネルギー事業に参入・関与する事業者が多様になるなか、バーチャルパワープラント(VPP)というモデルがこの10年ほどで広まってきた。VPPとはどういったビジネスモデルなのか?その発展と構造、また課題と展望はどのようになっているのか?再エネ電力事業の最前線で立上げ・運営をリードした小嶋 祐輔氏がポイントを解説する。(連載第5回)
分散型エネルギーの導入がVPPの発展のきっかけ
FIT制度(固定価格買取制度)や電力自由化に伴い、エネルギー事業に参入・関与する事業者が多様になるなかで、バーチャルパワープラント(VPP:多数の小規模な発電所や、電力の需要抑制システムをひとつの発電所のようにまとめて制御を行うこと)というモデルが業界の中で共通概念になったのは、この10年ほどの電力産業の発展によるものである。需要家がもつエネルギーリソースは3種類ある。
1.太陽光発電を中心とした分散型エネルギーリソース
2.自家発電機・蓄電池・電気自動車をはじめとしたエネルギー機器
3.生産設備・照明・空調といった電気機器
これらのリソースを制御し、系統全体の電力量の調整に寄与させ、系統管理者である送配電事業者からその対価を得るというのがVPPにおけるビジネスモデルである。