「持続可能なエネルギーの実現と普及」、「老朽化が進むインフラ」、「止まらない気候変動」。このような日本における課題、またグローバルな課題を解決するためには、その現状をどう捉えるべきか。協働ガバナンスや社会的学習が専門の東京都市大学大学院 環境情報学研究科の佐藤 真久教授に寄稿してもらった。(連載第2回。第1回はこちら)
前回は、社会問題に歴史的変化が見られていること、今日的な時代認識として、(1)外部・他者のないグローバリゼーションの時代、(2)大加速化の時代、(3)地球惑星の時代、(4)混成文化の時代、(5)VUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)の時代について考察しました。今回は、直面するグローバルで複雑な問題群、グローバルリスクなどについて述べたいと思います。
直面するグローバルで複雑な問題群
2020年に世界を覆った新型グローバル感染症(COVID-19)の流行は、グローバル感染症の脅威に加え、私たちの周りにあった多くの問題を浮き上がらせました。新しい感染症の流行の頻度が高まっているのは、人間の居住環境の変化、気候変動による生態系の変化、グローバルな人の移動など、さまざまな遠因があると言われています。そのほかにも直面する問題として、(1)ロシアによるウクライナ侵攻などに見られる国際紛争、(2)世界各地で見られる自然災害、政治や環境、経済や技術などの理由による紛争や社会的排除問題、(3)誤情報や偽情報、情報格差などによる不信と不和の連鎖など、多様な問題が表層化してきています。