これまでの社会における「協働」とは、同質性の高い主体で行うものだった。現在の複雑で変動する社会(VUCA社会)においては、どのような協働が求められ、何に貢献できるのか。ガバナンスや社会的学習が専門の東京都市大学大学院 環境情報学研究科の佐藤真久教授に寄稿してもらった。(連載第4回、バックナンバーはこちら)
前回は、日本も安全・安心保障の時代を迎え、従来の「論理的合理性」のみに頼るのではなく、他者とのコミュニケーションによる視点の一致、最適解の更新において「コミュニケーション合理性」の重要性を指摘しました。このような複雑で変動する社会(VUCA社会)において、これまでの「同質性の高い協働」を超えて、異なる主体と手を組む力が求められています。今回は、これまでの協働を振り返り、これからについて述べ、とりわけ、共有ビジョンとなる星を見ながら、互いに力を持ち寄り、歩み続ける「異質性の高い星見型の協働」の重要性について述べたいと思います。
これまでの協働
これまでの協働は、ある明確な目的に基づいて実施する「事業協働」(共催や後援、実行委員会、企画立案、情報交換など)が主流でした。