グリッドパリティ

グリッドパリティとは、再生可能エネルギーの発電コストが、既存の系統から購入する電力のコストと同等またはそれ以下になる状態を指す。
発電設備の低コスト化や系統電力価格の上昇により、自前で発電設備を導入して電力を賄う経済合理性が成立する分岐点を意味する。
日本国内におけるグリッドパリティ達成段階と進捗状況
日本国内におけるグリッドパリティの指標として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が策定した3段階のロードマップ目標が広く参照されている。家庭用電力料金並み(約23円/kWh)を目指した第1段階目標は、太陽光発電設備の価格低下に伴い住宅用太陽光発電を中心に達成された。
業務用電力並み(約14円/kWh)を目指す第2段階目標についても、低圧や高圧向けの低価格帯システムにおいて達成あるいは近接する水準までコスト低下が進んでいる。さらに、汎用電源並み(約7円/kWh)の達成を目指す第3段階目標は2030年に向けたターゲットとして設定されており、大規模事業用太陽光発電などを中心に継続的なコスト低減の取り組みが進められている。
- 第1段階(家庭用電力並み:約23円/kWh):住宅用太陽光発電を中心に達成済み
- 第2段階(業務用電力並み:約14円/kWh):産業用・低価格帯システムを中心に達成〜近接水準
- 第3段階(汎用電源並み:約7円/kWh):2030年目標として大規模電源等で低減を推進
売電主導から自家消費型・PPAへの転換
固定価格買取制度(FIT)の開始当初は、発電した電力をすべて売電する全量売電モデルが投資の中心であった。しかし、FITやFIP制度における調達価格・基準価格が段階的に引き下げられた一方、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金の影響により系統電力の購入単価が高止まりしたことで、グリッドパリティの成立範囲は大きく拡大した。
電力会社から購入する電気料金よりも太陽光の発電単価の方が安価になった結果、売電するよりも事業所や工場内で消費する「自家消費」が標準的な運用モデルとして定着している。初期費用負担をかけずに自社敷地や屋根に設備を設置して電力を購入するPPAモデル(オンサイトPPA)の普及も、この経済的逆転が後押ししている。
ストレージパリティへの政策展開と実務課題
太陽光発電単体のグリッドパリティが定着したことを受け、市場や政策の関心は「ストレージパリティ」の達成へと移行している。ストレージパリティとは、太陽光発電設備と蓄電池を併用した方が、系統から買電し続けるよりも経済的メリットが得られる状態を指す。
全国各地で再エネの出力制御が常態化する中、昼間に発電した余剰電力を系統に逆潮流させず蓄電し、ピーク時や夜間に自家消費するニーズが高まっている。また、送配電系統の維持費用を発電側が一部負担する発電側課金の導入もあり、単独の系統接続型売電から、蓄電システムと連動させた完全自家消費型システムへの投資判断が実務上の重要課題となっている。
参考
- 経済産業省 資源エネルギー庁 ― 調達価格等算定委員会「太陽光発電について」
- 経済産業省 資源エネルギー庁 ― 固定価格買取制度(FIT・FIP)情報公表資料
- 環境省 ― ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
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