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ソーラーシェアリング研究報告

次世代農業としてのソーラーシェアリング

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農業は、地域や時代によってその形態は異なり、世界重要農業遺産システム(GIAHS)、通称世界農業遺産にみられるように、世界には多様な自然資源に基づき、また地域に適合した管理手法を用い、人類の進化と共に多様な農業システムが構築されてきた。

農業の地域的要因には気候や文化などがあり、その変化は近年まで緩やかであった。しかし、気候は地球温暖化のためか、高温や低温、大雨(集中豪雨)、大雪、干ばつなどの異常気象・気象災害が近年多発しており、その対策として耐候性ハウスや品種の開発、防災ダムの改修、ハザードマップの作成などの取り組みが見受けられる。

文化は情報技術や輸送技術、加工技術の急速な発達などにより、ICT (Information and Communication Technology、情報通信技術)を駆使した農業技術の高度化や国際化、6次産業化が進み、国内農家の競争力強化と成長産業化を図ることが喫緊の課題となっている。一方で、地域の魅力を活かし、また輸送による環境負荷の低減を目的とした地産地消も見直されている。

さらに国際化(globalization)と地域化・現地化(localization)を融合した、グローカリゼーション(Glocalization)、つまり「世界規模で物事を考え、地域で活動する(Think globally、act locally。)」取り組みが様々な分野で活発である。私の解釈では、現地化は生産活動を母国ではなく、元来の輸出先で行うこと、地域化は母国故郷での活動としている。農業も例に漏れず、国内産農作物(果物、米、酒)の輸出が増えており、一方で、日本で品種改良されたものが海外で生産(例、牛肉:Wagyu、米:コシヒカリなど)されている。ちなみに、宮崎大学のスローガンは「世界を視野に 地域から始めよう」であり、世界を視野に地域と連携した教育と研究に取り組んでいる。

また、農業に及ぼす政策の影響は大きく、食料安全保障の観点から農地の確保・整備、担い手の確保・育成、農業技術水準の向上等による食料供給力の確保・強化が図られている。その例として、不測の事態に備え、農地を確保するために農地法により農地転用が規制されている一方で、米の生産調整が行われ、各種補助金により農家は保護されてきた。

しかし、平成25年11月22日に開催された産業競争力会議では、農業基本政策の抜本改革として、(1)米の生産調整の廃止、(2)余剰米が発生した場合であっても政府が市場に直接介入しないこと、(3)生産数量目標に従って米を生産する農家に10アール当たり1万5千円支払われている現行の「米の直接支払交付金」の廃止、(4)当年産の米の販売価格が標準的な販売価格を下回った場合に、生産者の拠出を伴うことなく、その差額を全額補填する「米価変動補填交付金」の廃止、(5)今後、市場における需要の拡大が見込まれる麦、大豆、飼料用穀物、米粉用米等の戦略的作物を「主作」と位置づけ、補助金等により支援することが明示された。

そのような背景から、経営力のある担い手による自立した生産性の高い農業の実現が必要となった。しかし、農作物は生き物であり、収量は天候の影響を、価格は市場の影響を受けるため、安定した収入を確保することは難しい。そのため、農家所得の向上および安定化、さらには農地保全、食料・エネルギーの安全保障を実現する新たな農業システムの構築が望まれる。その次世代農業システムとして注目されているのがソーラーシェアリングである。

(※全文:2,453文字 画像:なし 参考リンク:なし)

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この記事の著者

霧村 雅昭(きりむら・まさあき)

宮崎大学 植物生産環境科学科 農業システム学 助教

2006年より宮崎大学農学部助教。専門分野は農業システム学(園芸学、農業環境工学、植物栄養学、土壌学、環境農学)。植物工場・養液栽培に適した栽培管理技術に関する研究や、農地での食料とエネルギー生産を両立するハイブリッド農業に関する研究、農林畜産廃棄物利用による資源循環型農業システムの構築など、食料自給率向上だけでなく、環境保全、持続的経済発展、エネルギー安全保障の3Eを同時に実現する農業システムの構築を目的とし、新エネルギーや高効率な栽培技術の開発について研究する。ソーラーシェアリング、LED植物工場などに関し企業とも積極的に共同研究を行っている。
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