電力流通設備の供給支障や停電発生の多くは、自然現象に由来する。要因に不確かさが内在し、確率論的にしか事象の発生を予測することができない。電力流通設備(送配電設備)に注目して、近年ますます高まりつつある自然災害による停電のリスクとその低減方法について概観する。
はじめに
2019年9月に関東地方に上陸した台風15号により千葉県を中心に広域的かつ長期に亘る停電があったことは記憶に新しい。近年は日本の台風や集中豪雨だけでなく、オーストラリアやカリフォルニアでの山火事、最近のテキサスの寒波など、自然災害に起因する大規模な停電が地球上のあちこちで目立っている。大規模な停電は、影響が我々の生活に目に見える形で直接的に関わるという点では、多くの人にとって身近なリスクになりつつあると言える。
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