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サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルへの転換

ファッションからサーキュラーエコノミーを考える(前編)

昨今、ファッションの世界においてサーキュラーエコノミーへの関心が急激に高まっている。多くの世界的な有名ブランドがサステナビリティ素材やリサイクル素材の活用に競って取り組みはじめた。欧州を中心に100%リサイクル素材の被服ブランドが相次いで生まれ、日本の大手企業も古着のリサイクルを盛んに行っている。
ファッションと表裏の関係にあるともいえる芸能界でも同様のトレンドが見られはじめ、2020年のアカデミー賞では、サステナビリティをコンセプトとした衣装を身にまとった列席者が注目を集めた。
なぜいま、ファッション業界でサーキュラーエコノミーやサステナビリティに対する関心が高まっているのか。そして、同業界におけるサーキュラーエコノミー化に向けた取り組みの現況及び課題は何か。今回は、ファッションという切り口からサーキュラーエコノミーについて考えていく。

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ファッション産業の国際的な動向

今や、ファッション産業における環境負荷低減志向は世界的なコンセンサスとなりつつある。サステナビリティという観点に立った時、日本のファッション関連企業は、急速に進みつつある変革のまっただ中に置かれ、迫りくるグローバルの潮流に押されていると言っても過言ではない状況である。
2018年12月、国連気候変動枠組約(UNFCCC)事務局のもとで「ファッション業界気候行動憲章」が策定された。同憲章は、パリ協定の目標と整合したものであり、生産段階の脱炭素化、環境負荷の低い持続可能な素材の選択、低炭素な輸送等といった観点から、署名団体が取り組むべき課題を定めている。ADIDASやBURBERRY、H&M といったグローバル企業が署名しており、日本からもアシックスや、ファーストリテイリング、YKKなどが賛同している。
さらに、2019年には、「ファッション協定(Fashion Pact)」が打ち出された。これは、同年開催のG7サミットに際して立ちあげられたもので、議長国であったフランスのマクロン大統領主導の下、KERINGのピノーCEOが、ファッション及びテキスタイル業界で事業を展開する大手企業を取り纏め策定したものである。同協定に加盟した企業は、気候変動、生物多様性、海洋保護の分野における7つの具体的な目標を設定し、その実現に向けた取り組みを誓約することとなる。
ファッション協定の特徴は、具体的な定量目標を打ち出した点にある。気候変動分野では、先述の「ファッション業界気候行動憲章」をベースに置きつつ、より具体的な行動目標と数値目標を設定している。加盟企業のすべてが、科学的根拠に基づく目標(SBT)を実施し2050年までにCO2がもたらす環境負荷をネット・ゼロにすることを求められるうえ、環境負荷の低い素材調達率や再生可能エネルギーの普及率について具体的な数値目標が設定されている。
さらに、同協定は、生物多様性、海洋保護にまで対象を拡大させた。生物多様性の問題は、自然由来資源に依存しているファッション業界にとって重要なテーマであるとされ、重要な種の保護と極めて重要な自然生態系の保護と回復に向けた取り組みの必要性が提唱されている。また、海洋保護分野では、パッケージ素材として排出されるプラスチックに焦点をあて、プラスチック使用量の削減及びリサイクル率について数値目標が定められた。具体的な7つの目標は以下の通りである。

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