PKS(パーム椰子殻)

PKS(パーム椰子殻)とは、Palm Kernel Shellの略称で、アブラヤシからパーム油を精製・搾油する過程で発生する内果皮(殻)の農作物残さである。水分含有率が低く発熱量が高いことから、バイオマス発電の主要な固形バイオマス燃料として広く利用されている。日本国内では主にインドネシアやマレーシアから輸入されており、年間約500万トン規模の調達が行われている。
燃料特性と国内バイオマス発電における位置づけ
PKSは油分を含み水分量が比較的少ないため、発熱量が約16〜18MJ/kgと高く、粉砕や輸送に適した物理的性状を備えている。石炭火力発電所での混焼や、専焼のバイオマス発電設備における安定したベースロード電源用燃料として重用されてきた。
木質ペレットなど他のバイオマス燃料と併用されるケースも多く、例えば和歌山御坊バイオマス発電所のように、出力5万kW規模の大型設備においてPKSと木質ペレットを主燃料として安定稼働を図るプロジェクトも進展している。
持続可能性基準と第三者認証の義務化
かつてPKSは搾油工程の廃棄物残さとして比較的柔軟に流通していたが、原料となるアブラヤシ農園開発に伴う熱帯林伐採や泥炭地開発、労働環境などの環境・社会課題が世界的に指摘されるようになった。
このため、日本の固定価格買取制度(FIT)およびFIP制度においては、燃料としての持続可能性(合法性・環境配慮・トレーサビリティ等)の証明が求められるようになった。猶予されていた経過措置は2024年3月末で完全終了し、2024年4月以降は第三者認証を取得していないPKSによるFIT/FIP認定発電所の調達・売電は原則認められていない。
認定対象となる第三者認証スキームには、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)、RSB(持続可能なバイオマテリアルに関する円卓会議)、GGL(グリーン・ゴールド・ラベル)、MSPO(マレーシア持続可能パーム油認証・Part4)、ISCC Japan FITなどが指定されている。
サプライチェーン管理と制度見直しへの対応
PKS調達の実務においては、認証燃料を物理的に追跡・管理するためのCoC(加工流通過程の管理)認証の維持が必須である。発電事業者だけでなく、現地集荷業者(コレクター)、搾油工場(ミリ)、海上輸送を担う商社に至るサプライチェーン全体での認証管理が不可欠となっている。
さらに、サプライチェーン全体を通じたライフサイクルGHG排出量の管理も重要視されている。経済産業省の事業計画策定ガイドラインに基づき、燃料調達実績やGHG排出削減に向けた自主的な情報開示が求められており、2030年度の基準値(54 g-CO2eq/MJ以下)達成に向けた海上輸送効率化や搾油工場でのメタン回収といった対策が進む。
なお、制度面では1万kW以上の一般木質バイオマス・農作物残さ電源の新規認定が2026年度以降FIT/FIPの支援対象外となる方針が決定している。原産国であるインドネシアやマレーシアにおける輸出税・賦課金の改定や国内供給優先規制(DMO)といったカントリーリスクを踏まえ、長期的な燃料調達戦略の再構築が求められている。
関連ニュース 等
参考
- 資源エネルギー庁 ― 再生可能エネルギーFIT・FIP制度ガイドブック(2024年度版)
- 資源エネルギー庁 ― バイオマス持続可能性ワーキンググループ(配布資料一覧)
- 資源エネルギー庁 ― 事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)
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