COP21について、日本政府代表団の交渉官として参加した島田 久仁彦氏に、会議で決定された項目の解説や緊迫した交渉の現場を語ってもらう人気コラムの第6回目。前回、フランス議長団の巧みな議事進行と、先進国と途上国との対立、その中間に位置する経済移行国との攻防について、交渉の舞台裏を語ってもらった。今回は、COP21最大の“イシュー”であったインドの「知的財産権をめぐる主張」について、合意形成に至るまでの過程について紹介する。
COP21最大の問題「インドの知的財産権を巡る主張」
COP21では、“支援”に関係する内容で、会議前から大きなハードルと考えられていたものに、インドの「知的財産権を巡る主張」があった。「途上国への技術移転が行われないのは、気候変動適応・緩和技術にかかわる特許が、最終的な技術コストを上げる結果になり、途上国にはとても手が出せるような金額になっていないことが原因であるため、緑の気候基金(Green Climate Fund)に知財買い取りのためのファンドを作るべし」という内容だ。これは長年、結論が出せないイシューで、先進国にとっては到底くみすることができない主張だが、インドがこれにこだわって「パリ協定」には合意できないのではないかとの懸念が存在した。
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