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風力発電の二の舞を防げ! 地域で愛される温泉発電へ

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ここ数年、温泉が地域の新たなエネルギー源として注目を集めており、太陽光発電から温泉発電へと、事業者の投資先がシフトしている。一方、温泉発電は既存の温泉井を利用するため、事業参入へのハードルが低く乱開発につながりやすい。特に日本一の源泉数と湧出量を誇る大分県別府市では、騒音や排水、景観破壊などが大きな問題となっている。このままでは、地域の有望なエネルギーとして期待され、日本全国で一気に導入が進んでいたにも拘わらず、騒音被害や景観・環境破壊が問題となり、かつて全国各地で反対運動が行われた風力発電の二の舞となる可能性がある。

温泉発電を地域の有用なエネルギー資源として有効活用するためには、無秩序な乱開発を抑制し、地域の共有資源として受け入れられる環境を醸成する必要がある。地域資源である再生可能エネルギーなどを活用する場合、単にインフラサービスとして提供するだけでは、地域の活性化及び地場産業振興策には繋がらない。地域のコミュニティ、文化、生活サービスの中に取り入れることにより、地域に密着した愛される温泉発電としていくことが求められている。

本稿では、温泉発電が注目されるようになった背景と現状の課題を整理し、今後、地域で愛される温泉発電とするための方向性を提案したい。

温泉発電への注目と課題

温泉発電が注目され始めたのは、ベースロード電源として国から期待され始めたことや温泉発電に係る規制が緩和されたこともあるが、2012年の「再生可能エネルギー固定価格買取制度(以下、FIT)」の開始後、全国で建設ラッシュが続いていた太陽光発電の買取価格が大幅に引き下げられ、太陽光発電の建設にブレーキがかかったことも要因のひとつである。

また、地熱(温泉発電)の買取価格は、FIT開始以降、1万5000kW未満で40円/kW(税抜)と高価格で設定されている上、温泉発電は、地熱発電とは異なり新たな探査・掘削などを行う必要がなく、既存の温泉井を利用できる手軽さから事業への参入ハードルが低いと見られることが少なくない。これより、事業者の投資先が太陽光から温泉発電へと大きくシフトした。

特に日本一の源泉数と湧出量を誇る大分県別府市では、既存の源泉を活用した温泉熱発電施設が徐々に増え、住宅地において既に8カ所の小規模温泉熱発電所が稼働している他、現在39カ所で建設計画が立ち上がっており、騒音や排水、景観破壊などが大きな問題となっている。また、事業者の安易な参入により、温泉相互の干渉や温泉資源の枯渇など、地域の共有資源である温泉に重大な影響を及ぼす可能性も懸念されている。

(※全文:4,319文字 画像:なし 参考リンク:あり)

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この記事の著者

齊藤 三希子(さいとう・みきこ)

株式会社NTTデータ経営研究所 社会・環境戦略コンサルティングユニット マネージャー

低炭素社会の構築支援、再生可能・未利用エネルギー、農業などの地域資源を活用した地域活性化の仕組みづくりなどに従事。地域資源(再生可能・未利用エネルギー、農業等)を活用した持続可能な地域モデル創出、スマート農業の実現を通した地域再生に取り組む。専門分野は、再生可能・未利用エネルギー、地域活性化、スマート農業。
株式会社NTTデータ経営研究所

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