理学系と工学系を融合させた研究科の新設や、県・企業との連携など従来の枠組みにとらわれず、水素に関する技術開発など最先端プロジェクトを推進する広島大学大学院先進理工系科学研究科。同大学において、製造コスト削減に挑む市川 貴之教授の取り組みなど、水素実用化に向けた研究の最前線を追う。(連載第5回、バックナンバーはこちら)
水素利用拡大に向けて、安価な運搬方法の確立が急務
燃焼時にCO2を排出しないことから、水素は次世代のエネルギーとして注目される一方で、製造コストなどに課題を抱えている。市川教授は、コスト削減のカギは生成した水素を消費地まで運ぶ方法にあると解説する。
「たとえば、高速道路や線路などに沿って水素のパイプラインを作ることができれば、一度に大量に運べるようになり、運搬コスト低減につながります」