九州大学都市研究センター長の馬奈木俊介教授は、独自の生成AIを開発して、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)に関する分析を行うなど、社会や経済の動きを分析・評価している。社会の幸福度を高めるために、工学はどのようにアプローチできるのか。都市工学の最前線に迫る。(連載第9回、バックナンバーはこちら)
工学でSDGsの豊かさを測る サプライチェーンのESG分析も
持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、取り組みの有効性を測る指標である「新国富指標」。インフラなどの人工資本、教育や健康などの人的資本、森林資源などの自然資本という3つの観点から、目には見えない社会の豊かさを測る指標として役立つと期待されている。馬奈木教授は国連の「新国富報告書2018」の代表を務め、全国の自治体や企業などに新国富指標の活用を提唱している。
「社会の豊かさは目には見えませんが、持続可能な未来を実現するには、社会活動の基盤となる富(資本)を十分にストックできているかを可視化することが必要です。新国富指標はこれらを効果的に測ることができる手段です」と馬奈木教授は話す。