この連載では、全12回を通してアスベスト問題と企業リスクについてまとめる。第9回では新資格である建築物石綿含有建材調査者の役割についてまとめた。第10回では各法令による規制とは別に条例などで規制を定めている自治体について紹介する。
2014年10月9日に大阪府南部泉南地域におけるアスベスト被害を巡る訴訟について、最高裁が一部国の責任を認める判決を下した。1958年にアスベストによる健康被害が判明したが、国が局所排気装置の設置を義務付けたのは71年になってからである。最高裁はこの対応を「著しく合理性に欠く」と結論付けたのである。