連載「環境・農業・サステビリティ推進ビジネスの創出」の第9回。年間1520兆円規模のビジネス創出が見込まれ、生物多様性と自然資本を回復に反転させる「ネイチャーポジティブ」。自然への影響・依存度が高い業界の企業は具体的にどのようなリスク対応を行い、それによりどういった機会を創出しているのか。金融経済の枠組みにはどういった潮流があるのか。ネイチャーポジティブ経営の実践に詳しいPwCサステナビリティのマネージャー村上朝彦氏とシニアアソシエイト白石拓也氏に解説してもらった。(バックナンバーはこちら)
リスク対応と機会創出の事例
自然関連リスクは業界ごとに異なる。本稿では特に自然への影響・依存度が高い食品・飲料業界を例に挙げ、自然への影響・依存とそこから波及するリスク・機会を解説し、企業の対応事例を紹介していく。
食品・飲料業界は自然への影響・依存度が高いことに加えて、将来において、フードシステムの崩壊が懸念されている。2050年までの世界人口の増加と食料需要の高まりにより、「現在の生産性では食料需要を満たせないのでは」との懸念がある。