ドイツは2050年までに「エネルギーシフト」、正確にはエネルギーヴェンデ(=エネルギー大転換、維新)を実施することを2010年秋に決議した。ドイツというエネルギー消費量が大きい工業先進国において、電力にウェイトを置いた再生可能エネルギーでほとんどすべてのエネルギーを供給することになる。同時に、エネルギー消費量を2050年までに半減する。再生可能エネルギーと省エネの推進という両輪を結ぶ軸となるのが地域暖房だ。日本では馴染みの薄い地域暖房について解説する(その2)。
日本では地域暖房というのは特別な工業地区や商業集積地区を除いてほとんど普及していません。これは日本に厳密な意味での「都市計画」が存在しないからだと私は考えています(都内の一部例外を除いて)。また、ミクロの対策であるエネルギー関連商品を大量に製造し、大量に普及させることで強みを発揮する旧態依然の日本の産業構造が、日本人の思考の奥深いところに影響しているような気もします。例を挙げましょう。