アジア開発銀行(ADB)はアジア太平洋地域の開発途上国に対し、様々な気候変動対策支援を行っている。その一環として、日本政府の拠出により二国間クレジット制度日本基金(JFJCM)を2014年に立ち上げ、ADB案件の低炭素技術の導入促進を進めてきた。本稿では、JFJCMの仕組み、案件事例や民間企業による活用方法について紹介する。なお、JCM制度全般の紹介についてはシリーズ第1回目を参照いただきたい。
ADBの気候変動にかかる取組み
アジア開発銀行(ADB)は、アジア太平洋地域を支援対象とする国際開発金融機関として、1966年に設立された。本部はフィリピン・マニラに所在する。ADBは、変化するアジア太平洋地域のニーズに効果的に対応するため、ストラテジー2030という取組みの指針を定めている。この指針の下、極度の貧困を撲滅する努力を続け、豊かでインクルーシブ、災害等のショックに強靭で持続可能なアジア太平洋地域の実現を目指している。ストラテジー2030において、ADBは以下7つの優先課題を設けており、気候変動への対応はその1つとして位置づけられている。気候変動対策にかかる具体的な目標としては、以下2つを掲げている。
全文は有料会員にログインしてお読みいただけます。
残り 85 %