【環境ビジネス編集部】審議会・委員会リポート

地域公共交通の「空白解消」は持続可能な地域創生の基盤 国交省が対策立案

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地域公共交通の確保は持続可能な社会のために不可欠だ(出所:PIXTA)

国土交通省は2025年6月27日、交通政策審議会交通体系分科会第1回地域公共交通部会を開催した。人口減少による利用者の減少や人手不足などから、地域の足とも呼ぶべき路線バスや鉄道等の廃止・減便が年々増加している。

2008年度~2023年度にかけて路線バスは約23193㎞、鉄軌道は約632.9㎞が廃止され、多くのバス・鉄道事業者が赤字となっている。地域交通は住民の買物、医療、教育のアクセス手段として、将来にわたる持続可能な地方創生の基盤となるものであり、「地域の足」確保に向けた対策が求められている。

2025~27年度は「交通空白解消・集中対策期間」

こうした現状の下、国土交通省では2024年7月に「交通空白」解消本部を設置。2025年5月には令和2025年度~2027年度を「交通空白解消・集中対策期間」とし、「取組方針2025」が定められた。地域公共交通部会では取組方針2025に基づき、自治体と事業者の連携のあり方や、地域公共交通計画の機動的・効率的な立案・実施について、審議された。

データに基づいた地域公共交通計画を立案・実施する

部会では冒頭、国交書総合政策局より「地域公共交通の現状」について報告され、以下の議論のテーマ・事項が提案された。

・事業者・産業・自治体は具体的な事業、取組について、壁を越えて連携・協議を進める

・地域の関係者は取組を機動的に実施できるように共通認識醸成や合意形成を進め、データに基づいた地域公共交通計画を立案・実施する

・自治体をはじめとする関係者がより容易にデータを収集し、データ保有者がより安心してデータを提供できる環境の整備、およびデータの範囲や手続きについて

・地域住民、インバウンド等の来訪者両者へのサービスの供給をバラバラではなく複合的・統合的に捉えることで、「地域の足」、「観光の足」両者の相乗効果が発揮され、地域交通の持続可能性が向上する地域がある

国土交通省は地域公共交通の強化を地域共創につなげたい考えだ(出所:国交省)

ライドシェアの議論も

さらに「日本版ライドシェア」や「公共ライドシェア」についても議論された。国交省「交通空白」解消本部のアンケート(25年5月30日)によれば、地域交通に対して、自治体が必要としている支援策は「予算面の支援」や「制度に係る情報や知見の提供」が半数を超えるとともに、「担当者のマンパワー不足に対する支援」や「体制の構築」についても、約4割となっている。

部会では以降、自治体支援等の具体的な議論をさらに深掘りし、骨子を取りまとめていく予定だ。

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