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電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究員 村井哲之の実践日記

(第11回)日本の食品スーパーが抱える課題を廃棄物バイオマスが解決

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電力自由化・地域エネルギー事業プロジェクト研究 第3期研究生の村井 哲之氏が、プロジェクト研究という場を通して「何を学び、何を考え、何を実践し、何を得たか」を書き連ねるライブコラム。前回は、英国視察で得た情報をもとに新しい循環型ビジネスを構想するまでの様子を描いた。今回は、事業構想プロジェクト研究参加により具体的にビジネスモデルを着想した経緯を語った。

「英国の最新電力自由化視察」の副産物は「英国における流通小売業の現状把握」ができたことです。流通小売業が電力を店頭で販売した痕跡を見つけるべく、大手総合商社のガイド役の方と一緒に20店舗以上を視察した結果、寡占化が進んでいると理解しました。

帰国後、ブログで「寡占化が相当進んでいると言っても、20%以上はローカルで生き残っているのだから、日本のスーパーの経営者も大手ではなく、こういったところを見るべきではないか!今回、我々はそれができなかったが...」と英国の流通小売業を今回の1回の視察で理解したような記事を書いてしまいました。ローカルをロクに見てもいないくせに。

すると、ブログを見たこの道30年の小売業の王道を歩んでいる方(事業支援者/今も現場の最前線で活躍をしている)に叱られてしまいました。「20%から学ぶことはない。そんな1回くらいの現地視察で分かったようなことを書くものではない」「それよりも、現在日本の食品スーパーマーケットチェーンが抱えている“4つの課題”を教えてあげるから、あなたはその中で、これまでの知識や経験から解決できることに取り組んだ方がいい」「あなたが今あるのは、日本の食品スーパーマーケットチェーンでは実現できなかった電気代の削減という課題(高価な節電システムを導入しても結局は運用上の不具合で使われなくなったり、ESCOでの導入の場合、その削減成果が見えない)を“電力の見える化”と“現場で働く従業員の節電意識の醸成”で解決したからだ」「今回教えた中から、同じように解決できる課題があれば、それをビジネスにしなさい」とズバリとメールに書いてありました。あまりにも的を射ていたので、正直たじろぎました。

そこに書かれた4つの課題の中に2つ、私が解決できる(したい)ものを見つけました。

  1. 食品スーパーは電力の負荷率が高く新電力(PPS)がなかなか見積もりを出し てくれない。
  2. 毎日店舗から出る食品廃棄物の収集・運搬コストの削減、及び廃棄業者の定期的監査(きちんと処分がされているか)の効率化

まず、01. に関しては、全店24時間営業の大型チェーン店となると極めてハードルが高くなってしまい、また現在の供給元である一般電気事業者も特別契約(オール電化契約を含む)で囲っており、見積もりを出させることが難しいということがありました。そのため、それがない物流センター等を中心に、まずは複数の大手PPSへの見積もり打診を引き受ける形(入札代行)にしました。現在進行中です。

続いて、02. については、実際その方のところに詳細なヒアリングに行きました。同社では20社近くの一般廃棄物収集・運搬事業者に、各企業の料金体系で処理をお願いしており、その結果、企業によっては倍近く金額の差が見られることもありました。現状を把握したいという要望があったため、排出される食品廃棄物の量を正確に把握する方法として、1年間店舗ごとに電子秤を入れて、回収の都度その量を正確に計り実態を把握したいと提案しました。

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この記事の著者

村井 哲之(むらい・てつゆき)

事業構想大学院大学 研究員

環境プランナー。広島大学 政治経済学部 経済学科卒。法政大学環境マネジメント研究科修士課程中退。リクルート、第二電電(現KDDI)、エネルギー・マネジメントベンチャー代表取締役を経て、現在、日本初の廃棄のコンシェルジュ総合商社 株式会社イブロン代表取締役。

受賞歴:2007年 アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー ファイナリスト受賞、2008年 金書奨受賞(台湾の経済産業省が選ぶビジネス書NO1.)

国政への関与歴:経済産業省電力需給調整委員会(2回)参考人招致、参議院議員経済産業委員会「省エネ法」参考人招致

著書:『コピー用紙の裏は使うな!』(朝日新書)『コスト削減の教科書』(ダイヤモンド社)『廃棄物ビジネスの変革者たち』(共著/環境新聞社)『小売業の節電マニュアル』(商業界)他9冊

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