電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究員 村井哲之の実践日記

(第17回)研究員の垣根を越えて新しいビジネスを創出

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電力自由化・地域エネルギー事業プロジェクト研究 第3期研究生の村井 哲之氏が、プロジェクト研究という場を通して「何を学び、何を考え、何を実践し、何を得たか」を書き連ねるスーパーライブコラム。前回廃棄物バイオマス発電の普及に向けた課題と方向性をまとめた。今回は、プロジェクト研究員同士の交流を通じて、新しいビジネスが生まれた『セレンディピティ』について語った。

『セレンディピティ』の始まりは、研究員同士の授業の交流でした。1期研究員は、流石に一期生だけあって、事業構想大学院大学が初めて募集した新電力ビジネス研究プロジェクト研究員に全国各地から駈け付け、ベンチャー精神に富み、月2回の通学も含めた自らが持てる時間や将来と言うものに、学ぶと言う投資が出来る方々が沢山いました。現実に多くの社長が、太陽光発電ビジネスを行っており、新電力ビジネスで実際にしっかりと稼いでいたり、これから儲けるためのビジネスのフィールドを確実に創っている人達でした。

そのことは、私が「英国の電力自由化視察報告」を1期研究員の前で講演形式で行った時にも強く感じました。同じ講演を2期、3期研究員の前でも行いましたが、質問の量、質ともに群を抜いていました。その視点があったかと気づかされることもしばしばありました。

例えば、英国ではビッグ6が市場を独占し新電力はなくなりかけましたが、ここに来て一部が息を吹き返してると言う話の際に、自社のスマートメーターを付けてプリペイド方式で電気を売っている会社が伸びていますとの話をしたら、その場でインターネットにアクセスをし、そのメーターの仕様を探り当て、日本の規格に適合するかの議論をその場で始めました。

また、日本でこれが展開出来るなら、今、まさに増えているシェアハウスの電気代の正確な各自負担、これから相当の普及が予測される民泊施設における電気代の支払いに相当のニーズがあることにもすぐに気づきました。

そんな中、1期生のオピニオンリーダーを務めている研究員の講演がありました。この方は、既に新電力ビジネスは、自らが電力販売事業者になってもビッグ10(10大電力会社)には敵わないし、万が一生き残れても簡単には収益をだせないことをいち早く見抜いていました。そのため、まずはお客様の仕合せ(幸せ)ベースで数ある新電力の中から最適な提案を仲介するビジネスモデルからスタートしているということでした。実際、岡山本社であるにも関わらず、700件、契約電力で10万kWの切替え実績を持っていました。

とても歯切れのいい講演(授業)で、やはり、私と同じ結論、つまり、電力販売事業に参入しても最後は大手に勝てない。今は、新電力大手の取次を通じてエンドユーザーを確保しながら、最後は、電力会社を設立したいと思っているとの話でした。それも、かなり具体的な話でした。研究員卒業後、1期研究員5社の社長で一般社団法人を作り、そこで、再生可能エネルギーを中心とした発電事業を全国各地で行うと言う内容でした。

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