電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究員 村井哲之の実践日記

(第17回)研究員の垣根を越えて新しいビジネスを創出(2ページ目)

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一般社団法人の構想を聞いてみると聞いていると、理事メンバーを予定している企業は、それぞれに強みを持っていました。

  • 太陽光やバイオマス発電をファンドではなく信託商品に仕上げる力を持っている。また、世界一の風力発電メーカーとがっちりと組んでいる。さらには、「網走市再生可能エネルギー構想」を主導している。
  • 太陽光の屋根貸しビジネスの最大のネックのひとつである「屋根に傷を付けてしまう」を類稀なる板金技術で解決した実績を持っている。
  • 東北で1社単独で200億円規模で建設を予定している。
  • 四国で、太陽光発電サイトを最も多く作っている。

そして、当日講演をしてくれた岡山に本社を置くエネルギーマネジメント会社社長の新電力ビジネスへの進出の基盤となったビジネスモデルを聞いて、正直、腰を抜かしそうになりました。

私が前職の会社の社長時代に世に送り出した「電気」の『見える化』+そこで働く従業員への“節電意識の醸成”と言うビジネスモデルのスタート時の原始モデルだったのです。

実は、元々電気の『見える化』の仕組みの削減ポイントは、電気が「見える」⇒無駄に「気づく」⇒対策を「考える」⇒自ら「行動する」⇒確実に「成果が出る」⇒確かな「自信になる」⇒気ずきの「レベルが上がる」⇒さらなる「無駄が見えてくる」・・・・このループが回り続けることです。

そのためには、定期的に店舗や施設を省エネ指導員が巡回し、電気代の最適化に責任を持っている方(通常は店長)との信頼関係に基づく密なるコミュニケーションこそが肝になっていました。ところが、全国に一挙にお客様が出来、それまでと考え方を一変せざるを得なくなり、IT技術を駆使して、現場に行かなくても電気使用量を下げられる仕組みの構築に走りました。結果、削減効果は年々薄れていきました。

一方、岡山の社長は全く逆を考えました。そうせざるを得なかったが正しい言い方かもしれません。それも、相当腹を括って。それは、『見える化』システム導入に際しての初期投資も日々のデータの管理費も一切頂かないない。しかし、月に1回は必ず店長(店舗の電気使用量最適化担当者)を訪問して節電指導をすることを認めてください。頂く報酬は、過去3年間の各店舗の電気使用量の平均値(毎月の)と比べて、同社が月一回の店舗巡回指導を開始して以降の各店の電気使用量との差額(10万円下がっていれば5万円)を指導している間は下さいと言う爽やかなものでした。実は、震災の影響で節電意識が一般化してしまい、前職で新しいビジネスとして考えていたものの、投資余力がなくなり断念したビジネスモデルでもありました。

彼は、1施設当たり100万円を超える『見える化』システムの初期投資と毎月1万数千円の管理費を頂き、eラーニング等を通じて従業員の中に節電・省エネ意識を芽生えさせ、植え付ける方向に走っていた当時の流れの逆を行き、初期投資なしの完全成果報酬型、かつ、店舗巡回徹底指導型ビジネスモデルで、岡山のドラッグストアーの8割をお客様にしていました。当時の私の営業力でも難攻不落だったお客様を中心に。

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