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電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究員 村井哲之の実践日記

(第10回)英国視察を経て、新しい循環型ビジネスモデルを構想

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電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究 第3期研究生の村井 哲之氏が、プロジェクト研究という場を通して「何を学び、何を考え、何を実践し、何を得たか」を書き連ねるライブコラム。前回は、英国視察や刻々と変化する市場動向を受け、当初考えていたプランがとん挫した理由を語った。今回は、英国視察で得た情報をもとに新しい循環型ビジネスを構想するまでの様子を描く。

食品スーパー自ら電力小売ビジネスへ参入する件に関しては、収益性(極めて低い)に対する事業リスクの大きさから断念しました。参入への見解を求められていた、ロンドンへ同行したスーパー2社、40社以上のスーパーを束ねる会社の社長には時期早尚と返答しました。まだ、暑さの残る9月末のことと記憶しています。それから3ケ月と少しが経過し、いよいよ電力小売事業者各社のサービスの内容が発表され、その時の判断は間違っていなかったと確信しています。

こうした中、その頃の研究員の多くが、以下のような結論に達していました。

  1. 自らが電力小売事業者となり電力販売を行う事業モデルは、戦う相手(最後は10大電力会社)が大き過ぎる。また、既に確たる顧客基盤を持っている企業(例えば、通信各社が次々に打ち出す、電話と電気のバンドルサービス)なので、収益性と継続性を持ったビジネスモデルの構築が難しい。
  2. 電力小売事業者の代理店となる電力販売モデルでは、よほど、強固な顧客基盤を持っていないと収益性も低く、それ単体では事業にはならない。
  3. 一番儲かりそうなのは送・配電ビジネス。しかしこれは現状の法制度上、参入そのものが難しく、巨大な資本が必要である。
  4. 発電事業にこそ高い可能性がある。ポイントは、
  • 発電するエネルギーがクリーンである。(CO2が出ない)
  • 発電するエネルギーが地方で作られ、使われる。(地産地消/地方行政の巻き込み)
  • 発電効率が高い。

の3つである。となると、バイオマス発電を中核とした発電事業モデルの構築に大きなビジネスチャンスがある。(太陽光は、蓄電が効率的に行えるようになると違ってくるが、現時点では太陽が出ている時のみ発電)

このことは、事業構想大学院大学の研究員募集のプロジェクト研究名が、1期では「電力小売自由化プロジェクト研究」から、3期では、「電力自由化・地域エネルギー事業プロジェクト研究」、そして、直近の5期では、「ガス電力小売、地域エネルギー事業構想プロジェクト研究」と変更していることや、新たに「網走市再生可能エネルギー構想プロジェクト研究」の研究員募集が始まっていることからも見て取れます。

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この記事の著者

村井 哲之(むらい・てつゆき)

事業構想大学院大学 研究員

環境プランナー。広島大学 政治経済学部 経済学科卒。法政大学環境マネジメント研究科修士課程中退。リクルート、第二電電(現KDDI)、エネルギー・マネジメントベンチャー代表取締役を経て、現在、日本初の廃棄のコンシェルジュ総合商社 株式会社イブロン代表取締役。

受賞歴:2007年 アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー ファイナリスト受賞、2008年 金書奨受賞(台湾の経済産業省が選ぶビジネス書NO1.)

国政への関与歴:経済産業省電力需給調整委員会(2回)参考人招致、参議院議員経済産業委員会「省エネ法」参考人招致

著書:『コピー用紙の裏は使うな!』(朝日新書)『コスト削減の教科書』(ダイヤモンド社)『廃棄物ビジネスの変革者たち』(共著/環境新聞社)『小売業の節電マニュアル』(商業界)他9冊

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