電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究員 村井哲之の実践日記

(第11回)日本の食品スーパーが抱える課題を廃棄物バイオマスが解決(2ページ目)

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しかし、全店でkgいくらの公明正大な料金体系を設定・浸透させても、結果、現時点で削減できるかどうかわからないものに対して、安くても1台30万円以上もする電子秤を全店に配する投資リスクは背負えない、毎月1店舗数千円程度の負担で全店でゴミ計測を実現できないか、という回答を頂きました。間違いなく、最終的には"廃棄物の処理コストの半減"を狙った前向きな相談と受けとめました。

この件を、私が廃棄物業界のことでお客様の課題を解決する策がない時にアドバイスを頂いている経営者に相談をしました。すると産業廃棄物の業界で、今まさに今回のような課題(一般廃棄物の最適化処理)を抱えている食品スーパーマーケットチェーンを対象に、あるサービス開始の準備に入っている企業の存在を教えて頂きました。

その企業は、前職で「見える化」システムを業界ではいち早く全店舗に導入した全国展開のスーパーマーケットでした。全国の店舗から出る産業廃棄物の収集・運搬の効率化、及び適正化を長年行っているという実績がHPに書かれており、ここは信頼ができる会社だと鋭意、情報収集を始めました。業界がら「一般廃棄物」となるとセンシティブな問題でもあり、加えて同社の今回のビジネスモデルは最新の、もっと言えば今はまだ底流での動きであり、その全貌をつかむまでには大変な苦労をしました。

そのことを知った時、大義ある素晴らしいビジネスモデルだと思いました。しかし、その時点では、これが今の小生の事業構想の中核をなすバイオマス事業につながるとの気付きは薄かったと思います。

それを結びつけたのは、「電力自由化・地域エネルギー事業プロジェクト研究」の同じ3期研究員である都内のエネルギーマネジメント会社の社長の「構想発表」でした。

昨年8月の第1回目の各研究員の事業構想発表の中では群を抜いて完成度が高く、既に事業化の準備に入っているとのことでしたが、表に出せない情報(具体的な提携先・交渉先企業名、採用する機械メーカー等)も多くありました。一方、それを聞く私はというとバイオマス関連の知識があまりなく、世の中やっぱり賢い人はいるなくらいの感想で終わっていました。

3ケ月後の各自の事業構想の中間発表(2回目)では、かなり具体的な進捗報告を中心にプレゼンがなされました。大雑把に言えば、都内の私鉄沿線沿いにある食品スーパーマーケットチェーンの全店舗から出る食品廃棄物を収集・運搬して都市型のバイオマス発電を行い、グループの電力小売事業者に供給し、沿線の電気をたくさん使う家庭(富裕層)にCO2排出の少ないクリーンな電力としての価値を付加して販売するというものでした。

この発表を聞いた直後、日本の全ての食品スーパーマーケットチェーンが抱える食品廃棄物の最適化処理と言う課題を解決するビジネスモデルと廃棄物系バイオマス発電と言うビジネスモデルが「バシッ」と結び付き、新たな私の事業構想が生まれました。

次回は、より具体的に「食品廃棄物の最適化」ビジネスモデルの全貌と企業名を交えながら、「廃棄物系バイオマス発電」ビジネスモデルの話をしたいと思います。

事業構想大学院大学 ガス・電力小売・地域エネルギー事業構想
~地域でエネルギー事業を興すプロジェクト研究~
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地域経済と環境に貢献する地域エネルギー事業を構想する。2016年4月の電力小売全面自由化、固定価格買取制度(FIT)を活用した発電事業、地域資源であるバイオマス、風力、水力、太陽光、地熱などを用いた永続的な再生可能エネルギー事業を模索する。自社の経営資源、地域資源を活用すべく捉え直し、理想の事業を実現するための実践的研究会。全国より45社の企業幹部が参画中。

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