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太陽光反射光訴訟、逆転判決 なぜ、原審は覆ったのか?

江口 直明

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(事案名)

「屋根に設置したパネルによる反射光は隣家の住人の受忍限度を超えるものではないとして損害賠償を認めなかった事例(東京高裁平成25年3月13日判決 確定)」

以前の記事でも紹介した屋根貸しモデルによる太陽光発電による反射光被害事件であるが、2013年3月13日、原審(横浜地裁平成24年4月18日判決)の判断を覆して本件反射光被害による損害賠償は認められないとする控訴審判決が出た。

原審判決から1年弱の審理の結果、関連する証拠は十分に審理がなされたとの判断の下、東京高裁は事件を原審に差し戻すことなく自ら判断をするに至ったようである。もっとも、この判断をした東京高裁の判断基準は原審と異なるところはなく、本件におけるパネルの反射光は原審の指摘するほど強いものであるとは認められないとして損害賠償を認めなかったに過ぎない。

したがって、屋根貸しモデルにより太陽光パネルを設置する場合には、これまでどおり反射光の向きや強さなどを慎重に検討することが必要であるといえる。

本件は、Xが、その住んでいた一戸建ての建物の南側に建物を新築してその屋根に太陽光パネルを設置したY1とその建物の工事を請け負ったY2に対し、当該太陽光パネルのうち北側に設置したパネル12枚の光が反射することによりXの日常生活の平穏を害されたとして、Y1に対し所有権に基づく妨害排除請求として同12枚のパネルの撤去を、Y1とY2に対し、連帯して、不法行為に基づく損害賠償を、それぞれ請求した事案である。

以前紹介したとおり、この事件の原審では、本件パネルによる反射光は、ほぼ一年中にわたり、Xの建物の1階の3部屋、2階の3部屋、1階と2階を結ぶ階段、2階のベランダに、差し込む時間の短い部屋で30分から1時間、長い部屋で2時間半から3時間、反射光の強さの程度は通常と比較して最大4000倍を超える輝度であったことから、Xにおいてその建物内においても洋裁等の作業に支障が生じ、ベランダで洗濯物を干す際にサングラスの着用が必要となる等の状態であったと認め、これによりXの建物の所有権の円満な利用が妨害されており、その程度が受忍限度を超えると判断した。

原審において受忍限度を超えると判断された背景には、反射光が差し込む場所や時間、その輝度の程度が看過しがたい程度に至っていたことがあった。そして、このように反射光による被害が受忍限度を超えると認められる場合には、当該建物の所有者には太陽光パネルの撤去義務が生じ、太陽光パネル設置の工事を請け負った設置業者には損害賠償義務が発生することとなる。

反射光は受忍限度を超える違法な侵害か

この判決に対し、太陽光パネル設置の工事を請け負ったY2が控訴したのが本件である。

本件控訴審においては、主として本件パネルの反射光が原審の認定するように受忍限度を超えるものとして違法な侵害に当たるかが争われた。

(※全文:4,762文字 画像:あり 参考リンク:なし)

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江口 直明(えぐち・なおあき) ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業) 弁護士
江口 直明(えぐち・なおあき)
ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業) 弁護士
ベーカー&マッケンジー法律事務所の銀行・金融部門のリーダー。太陽光発電・風力発電・バイオマス発電などの、再生可能エネルギー関連に多数の実績がある。現在は、固定価格買取制度開始後の、法的実務案件を多く受け持っている。内閣府PFI推進委員会専門委員(2010年~)、国土交通省空港運営のあり方に関する検討会委員(2011年)、国土交通省我が国建設企業の海外PPP事業への参画のための戦略検討会議委員(2012年~)
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