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太陽光発電からの電力需給 契約要綱に8つの問題点

江口 直明

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再生可能エネルギー特別措置法(以下、「再エネ法」といいます。)の2012年7月1日からの施行に合せて、各電力会社から「太陽光発電からの電力受給に関する契約要綱」(名称及び内容は各社で少しづつ異なります。以下、「要綱」といいます。)が出されました(2ページ目URL参照。)。

要綱は大型太陽光発電所から小規模の太陽光発電所まであらゆる場面に適用できることを意図して一般的に作られていると思われます。すなわち、一般消費者を相手方とした約款の考え方で作成されています。500キロワット以上の太陽光発電所の場合には出力抑制とその補償という仕組みがあるので、「この要綱を承認の上」電力受給契約を申し込むかどうかは慎重に検討するべきと思われます。要綱には出力抑制の場合の補償の規定がなく、逆に、電力会社に帰責事由がない場合には損害賠償をしないという建付けが採用されています。「要綱を承認の上」電力需給契約を申し込むと出力抑制の場合の補償請求権を自ら放棄することになってしまいます。

上記以外にも再エネ法の考え方と相容れない点が要綱には見られます。下記の点が大きな考え方の相違点です。各電力各社の要綱は各社に少しずつ異なっていますので、下記は多くの要綱で共通する事項を抽出したものです。全て網羅していませんのでご注意ください。

実際の案件では各電力会社の要綱を慎重に検討する必要があります。

(1) 契約締結拒否事由が法律・省令以上に追加されている。
 (2) 出力抑制に対する補償を否定している。
 (3) 料金単価の変更権が電力会社にある。
 (4) 適正契約の保持を理由として電力会社に契約変更権がある。
 (5) 電力受給契約の契約期間が1年更新である(但し買取制度対象期間は20年としている。)。
   ※関西電力は受給契約の期間自体を20年としてくれています。
 (6) 要綱違反による契約解除に猶予期間がない。
 (7) 契約の承継について電力会社の承諾が必要となっている。
 (8) 受給開始日が買取価格変更日より3ヶ月超遅れると獲得していた買取価格を維持できない。

メガソーラー案件については、要綱に拘泥することなく、発電事業者側で電力受給契約を作成し、その契約書を使い電力受給契約の申し込みをすることが必要になると思われます。当事務所ではメガソーラー案件に対応した電力受給契約を準備しています。かかる契約書の案は過去の日本国内の風力発電所のプロジェクトファイナンス案件の際に一般的に使われている電力受給契約に基づいて、再エネ法の新しい観点を追加して作成しています。過去に使用実績があるものなので電力会社としても受け入れ易いものではないかと思います。

上記(1)から(7)の問題点をもう少し詳しく説明すると以下の通りです。

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江口 直明(えぐち・なおあき) ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業) 弁護士
江口 直明(えぐち・なおあき)
ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業) 弁護士
ベーカー&マッケンジー法律事務所の銀行・金融部門のリーダー。太陽光発電・風力発電・バイオマス発電などの、再生可能エネルギー関連に多数の実績がある。現在は、固定価格買取制度開始後の、法的実務案件を多く受け持っている。内閣府PFI推進委員会専門委員(2010年~)、国土交通省空港運営のあり方に関する検討会委員(2011年)、国土交通省我が国建設企業の海外PPP事業への参画のための戦略検討会議委員(2012年~)
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