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リーガル固定価格買取制度

回避可能費用の市場価格連動方式への変更は遡及適用するべきではない

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日本で企業家が育たない理由の一つに、リスクを取って新しい事業に挑戦する者を尊重しない風潮がある。リスクを取って挑戦して、成功した者にはそれなりのリターンが与えられるべきである。そうでなければ皆リスクを取ることをやめてしまう。リスクを取って新しい事業に挑戦する者は、単に博打をうっているのとは違う。冷静に現在の制度を分析し、その中で最小のリスクで最大のリターンを得るためにはどうすればいいか知恵を絞っている。

もし投資判断をした時の制度が後から遡って変更されてしまうと、投資家は予見可能性を失い、リスクを取って投資をすることができなくなる。先進国においては制度の遡及的変更は禁じ手である。スペインにおいて、再生可能エネルギーの買取制度が遡及的に変更され、投資家からスペイン政府に対してエネルギー憲章条約に基づいて多くの仲裁が提起されていることをみればこの点は明らかである。

新エネルギー小委員会の買取制度運用ワーキンググループ第5回(2015年3月31日)の下記の資料(以下、「事務局資料」という)で回避可能費用の市場価格連動方式への見直しが議論されている。制度は不断に見直しがされ、より良いものへ変えていくこと自体は重要であり、そのことを否定するものではない。但し、既存の制度を前提として、リスクを取って投資した者を、遡って制度を変更して不利益な扱いをすることは避けなければならない。

(※全文:2,954文字 画像:あり 参考リンク:あり)

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この記事の著者

江口 直明(えぐち・なおあき) ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業) 弁護士
江口 直明(えぐち・なおあき)
ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業) 弁護士
ベーカー&マッケンジー法律事務所の銀行・金融部門のリーダー。太陽光発電・風力発電・バイオマス発電などの、再生可能エネルギー関連に多数の実績がある。現在は、固定価格買取制度開始後の、法的実務案件を多く受け持っている。内閣府PFI推進委員会専門委員(2010年~)、国土交通省空港運営のあり方に関する検討会委員(2011年)、国土交通省我が国建設企業の海外PPP事業への参画のための戦略検討会議委員(2012年~)
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