電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究員 村井哲之の実践日記

(第15回)廃棄物の計量を実現することで、廃棄物処理に革命(2ページ目)

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本コラム第11回でスーパーの4大課題のひとつに、特に店舗から出される生ゴミの処理コストの高さと手間、それから適正管理(ちゃんと処分されているか?マニフェストはきちんと揃っているか?)の問題があると書きました。

今でも、以下のようなことが日本の食品スーパーマーケットチェーンの廃棄の現場で起こっています。あくまで予測ではありますが。

何県かにまたがって40店舗を運営する食品スーパーマーケットチェーンがあるとします。店舗から毎日出る食品廃棄物は昔(開店時)からのつながりで、店舗ごとに地元の一般廃棄物収集・運搬事業者が毎日回収していく。ゴミの分別も大変なので、生ゴミとビニールの分別もしないし、段ボールも一緒に持っていってもらっている。店舗ごとにばらつきはあるものの、大体毎月10~15万円を業者に支払っている。月額固定の支払いが結構多い。kgいくらで計算して請求をあげてくる業者もあるが、忙しくてその中身(の適正さ)まではとてもチェックできないし、現場で見ているわけでもないのでその数字を信じるしかない。

また、多くの業者が自社の経営陣とのつながりだったり、地元の議員の紹介で取引が始まったりと、色々なしがらみがある中、価格の最適化のことなど考えたこともないし、ましてや価格交渉など...。大体は新店ができた時に地元の業者が来て、しばらくの間ゴミの排出状況(量)を見て料金を決めていく。(開店時はゴミが多いに決まっているのに)

現状、多くの業者がおおよそのkgで回収したり、中には実量の倍の数字を記録する業者がいることは薄々わかっているが、誰も現場を見ていないしため文句のいいようがない。データがないので、価格交渉など夢のまた夢である。出入りしている一般廃棄物収集・運搬事業者も10社以上あり、各社が適正処理をしているかどうかをチェックするのは無理な状態。ISO14000を取得して更新している中、ゴミがきちんと処分されるまでを追いかけ、法律や条例等に添った適正処理を担保しなくてはならないが、現状ではシステムもないのでとてもできない。また、今般の食の偽装の問題で、産業廃棄物のように業者の処理現場を見に行かなくてはならなくなると大変である。

こんな感じです。おそらく40店舗あれば、年間の廃棄物の処理コストは40店舗×15万円=6000万円。段ボールの排出量も正確に把握すれば最低でも年間2000トンはあるでしょう。

ここに、これまで書いてきた廃棄物の可視化をベースにした「廃棄物の適正管理」「管理業務の簡素化」を実現するリアルタイムクラウドサービスと電子秤がセットになった、計量革命「極」と呼んで世に送り出したシステムが導入され、各店舗から出る廃棄物がきちんと分別された後にそれぞれの実質量を計測し、排出量に合わせた廃棄物処理費を支払う仕組みが動き出したらどうなるでしょう。

店舗で働く従業員が、ゴミを出す際にきちんと決められた分別をし、毎日閉店後に分別されたゴミ袋を電子秤に乗せ、タッチパネルにあるゴミの種類を「ピッ」と押すだけで、センターにゴミの種類と量のデータが飛んでいき、管理が始まります。もちろんマニフェストも連動しています。いつ行政の監査が入ってゴミの処理状況を聞かれても、ゴミの種類ごとに出された時点から現時点までの処理状況が、必要情報をパソコンに入力すれば一発で画面に表示されます。

次ページ →処分費を払っていた廃棄物が買い取ってもらえるようになる

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