電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究員 村井哲之の実践日記

(第15回)廃棄物の計量を実現することで、廃棄物処理に革命(3ページ目)

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しばらく様子を見て(ゴミの種類ごとの計測をして)おいて、月額を決めて支払っている業者には、ゴミごとのkg単価を決めて、kgでの取引を依頼する。一応、kgで請求をしてきている業者には自社で計ったデータを提示し、その差の説明を求めることで、おそらく2割程度の削減は可能になります(目分量も結構あり、大体20~50%くらいになります)。

段ボールまでkgに入れて処分費を払っているのであれば、分別後、正確に計って今の相場である5円~10数円/kgでの買取りを要請します。嫌なら専門の業者に買取ってもらうと言えば、多くの場合、何と今度は今の事業者がお金を払ってくれる可能性があります。賢いお客様は既にこのことに気づき、自社トラックによる各店舗への商品配送の帰り便で段ボールを回収後、自社の物流センターに集めて圧縮を行い、20円/kg手前で入札制にて専門業者に買取ってもらいます。これで1億円以上を売り上げ、結果的に食品廃棄物全体の年間処理コストをほぼ相殺しています。本当の話です。

先ほどの例でいえば、2000トンの段ボールが情報の無さから1円の利益も生んでない状況から、分別して計量をするだけで、約3000万円の利益に変わる可能性があるのです。

食品スーパーは、最終的な利益率が1%でも立派な業界です。3000万円の利益は、30億円の売上に匹敵します。最大規模、最繁盛店1店舗の年間売上げに匹敵します。まさに、革命的ではありませんか!だから「計量革命」なのです。

それまで全く見えていなかった、また見えてもそれが価値を持つとは全く思われていなかった「電力」の“見える化”によってエネルギーマネジメント業界の一時代を作ったと自負しています。それを当時、「節電革命」と呼んでいました。今度はそれを廃棄の世界に持ち込み、食品スーパーマーケットの業界においてゴミの“見える化”を先頭に立って推進していきます。そして排出者の方に何をどの程度排出しているかを徹底的に見せて、チャンスロスの削減的な考え方(発生抑制)を強く持って頂きます。場合によっては地域のスーパーで連携してリサイクル施設を建設・運営することまでを視野に入れています。

この「極」なるシステムがくまなく日本中の食品スーパーの店舗、惣菜・食品工場に普及することや、その結果として共同のバイオガス等のリサイクル施設が増えていくことがそのまま、自らが事業構想大学院大学の研究員として研究・構想し、事業化をしようとしている発酵系バイオマス発電用原料調達事業に直結していきます。

次回は大学院での『学び』の成果として、一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会 会長の、筑波大学熊崎教授の授業などから学んだ『廃棄物系バイオマス』について、現状における拡大に向けた課題と方向性の全体像と、「廃掃法」のかかわりについてまとめたもの掲載します。その後の2回で、もうひとつの大学院の価値である『研究員との交わり』の成果を具体的に記して、今回の連載を締めくくりたいと思います。理由は、いよいよ北海道の22万坪の土地で再生可能エネルギーによる地域エネルギー供給事業が始まるからです。全ては大学院の新電力・地域エネルギープロジェクト3期研究員になったことから始まりました。

事業構想大学院大学 ガス・電力小売・地域エネルギー事業構想
~地域でエネルギー事業を興すプロジェクト研究~
研究員募集中(4月開始)
地域経済と環境に貢献する地域エネルギー事業を構想する。2016年4月の電力小売全面自由化、固定価格買取制度(FIT)を活用した発電事業、地域資源であるバイオマス、風力、水力、太陽光、地熱などを用いた永続的な再生可能エネルギー事業を模索する。自社の経営資源、地域資源を活用すべく捉え直し、理想の事業を実現するための実践的研究会。全国より45社の企業幹部が参画中。

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