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自治体が所有する電源などを活用する地域新電力のとりくみ

稲垣 憲治

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前回は、自治体が関与する全国23の地域新電力一覧をもとに、「自治体出資」「需給管理」を軸に整理・考察を行いました(地域新電力まとめ(上)はこちら)。今回は、「自治体所有電源の活用」「電力供給先」を軸に地域新電力を整理していきたいと思います。

表 地域新電力一覧

※未設立、発表段階のものを含む。公表資料等をもとに筆者作成。記載情報は公表資料やヒアリング等の時期が異なるため、現時点の最新情報となっていない場合がある。

自治体所有の電源を活用

自治体の関与する地域新電力について電源を軸に見てみると、自治体所有の電源(メガソーラーや廃棄物発電など)を活用するケースが多くみられます。地域新電力にとって、電源の確保は重要事項であるため、自前で電源を持っている場合、(1)電源調達リスクの低下、(2)地産地消アピール効果においてアドバンテージとなります。

一方、メガソーラーや廃棄物発電などのFIT電源を活用する場合、交付金を差し引いた原価は電力市場価格+税となり、他電源に比して著しく高額になることはありませんが、価格の変動リスクは抱えることになる点には留意が必要です。

また、政府機関からのFIT交付金の支給がFIT電気供給から3~4か月後になることにも留意が必要です。発電事業者への支払いとの差が約3か月間生じ、小規模な小売電気事業者の資金繰りを圧迫する原因となる場合があります。

実は少なくない自治体が所有する電源

少し話がそれますが、自治体が発電設備を所有するケースは多くあります。まず、廃棄物発電(ごみ発電)が挙げられます。全国市町村の一般廃棄物焼却施設は1188施設(2012年度末時点)で、このうち発電を行っている施設は全体の26.7%にあたる317施設(合計発電能力は約1750MW)となっています。日本では、一般廃棄物処理は基礎自治体の責務とされ、これまで基本的に市町村ごとに焼却施設が整備されてきたため、欧米に比べ小規模な施設が多くなっていました。

小規模施設の場合、安定的な発電が難しく、また蒸気タービンなどの発電関係設備は固定費であるため費用対効果で不利になり、発電を行わない(又は発電したとしても自家消費のみに留まる)場合が多くありました。一方、近年は複数の自治体による廃棄物処理施設の共同設置が進んでおり、施設が大規模化する傾向にあります。ごみの発生量自体は減少しているものの、発電施設数及び総発電能力は増加しており、廃棄物発電は自治体所有の電源として一定のポテンシャルがあると考えられます。

廃棄物発電の総発電能力の推移(日本の廃棄物処理(平成24年度版):環境省)

廃棄物発電の総発電能力の推移(日本の廃棄物処理(平成24年度版):環境省)

次に、自治体所有の発電設備の隠れた主力として挙げられるのは、ダム付帯の水力発電(公営水力)です。公営水力は、戦後の河川総合開発の一環で設置されたものが多く、自治体所有となっています。平成28年4月1日現在で25都道府県1市が公営水力を所有しており、これらの合計設備容量は2310MWとなっています。

公営水力の多くは過去に一般電気事業者(現在の「みなし小売電気事業者」)と長期の売電契約を締結しており、現状では地域新電力が公営水力を活用することは難しい状況にありますが、契約期間満了後には地域新電力の主電源となる可能性は十分にあると言えます。

※なお、海外事例ではサンフランシスコ市が公営水力を活用し、100%再エネ電気供給の取組を行っています。以前こちらで紹介していますのでご参考にしてください。

次ページ →公共施設のみを対象にするか、家庭部門を含めるか

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この記事の著者

稲垣 憲治
稲垣 憲治
(公財)東京都環境公社 東京都地球温暖化防止活動推進センター (東京都 環境局 地球環境エネルギー部)
平成17年3月東京大学大学院修了(エネルギー工学)。同4月文部科学省入省、原子力計画課係長などを経て22年3月退職。同4月東京都庁入庁。ソーラー屋根台帳や屋根貸しマッチング事業、シティチャージ設置事業など自治体の新しい太陽光発電普及策の企画に従事。26年4月から(公財)東京都環境公社(都から派遣)。5か国10都市で先進都市の再生可能エネルギー普及策等を現地調査。
北橋 みどり氏
北橋 みどり
(公財)東京都環境公社 東京都地球温暖化防止活動推進センター 所属
NPO法人エコ・リーグ 代表理事、(一社)環境パートナーシップ会議 国際プロジェクトコーディネーター等などを務め、気候変動や国際交渉等に関連した数々のプロジェクト創出、国際ネットワーク構築等に携わった。環境省事業の委員や、外務省のNGO専門調査員等も務めた。2016年より現職。再生可能エネルギーの普及、新電力の立ち上げ・運営などに従事。
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