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ネットで拾えない地域新電力実務 ~ 誤解・よくある疑問編 ~

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前回は、電気事業の要である需給管理の実務のイメージをご紹介しました。本稿では、これまでお会いした地域新電力をご検討されている方の多くが抱えてらっしゃった疑問、そして恥ずかしながら私たち自身が勘違いしていたこと、実際に新電力業務をしてみて分かったことをまとめました。ネットでは拾いにくい・分かりにくいものを中心に記載しており、地域新電力をご検討の方に参考になれば幸いです。

旧一般電気事業者と常時バックアップ契約を結べばインバランスリスクはなくなる?

この誤解、検討の初期段階の方との会話で度々お見受けします。我々も「常時バックアップ」という言葉から勘違いして、検討当初はインバランスリスクが無くなるものだと思い込んでいました。誤解です。

常時バックアップとは、旧一般電気事業者が新電力に対し継続的に電力の卸供給を行うもので、インバランスを自動的に補正してもらえるものではありません。この常時バックアップですが、新電力の需要拡大量の一定割合(特別高圧・高圧3割、低圧1割)を上限として供給を受けることができます。料金については、基本料金と従量料金から構成されていますが、旧一般電気事業者によって単価が異なります。

なお、この常時バックアップですが、2000年の部分自由化にあわせて導入され、現在は新電力の主要な電源調達手段となっています。しかし、卸電力市場が未発達な状況における過渡的措置と位置づけられており、将来、卸電力取引が機能した場合には廃止することが望ましいとされています。

FIT法改正で、地産地消と言えなくなる?地元の再エネが買えなくなる?

平成29年4月からのFIT法改正で、送配電事業者がFIT電気の買取義務を負うこととなります。しかし、FIT発電事業者と地域新電力(小売電気事業者)との間に個別の契約が締結されていれば、地域新電力は「○○産のFIT電気」として需要家に販売が可能です。ちなみに、あくまで送配電事業者が買い取った上で、地域新電力に供給する形態であり、発電事業者との電力買取契約は送配電事業者が行うことになります。

なお、平成29年3月までに締結された発電事業者と地域新電力間の買取契約(特定契約)は、4月以降も引き続き有効であり、契約期間満了まで継続することが可能となっています。

送配電買取のイメージ図(経産省資料より抜粋)

送配電買取のイメージ図(経産省資料より抜粋)
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地産地消として販売する際のイメージ図(経産省資料より抜粋)

地産地消として販売する際のイメージ図(経産省資料より抜粋)
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えっ!?電源確保に1年以上!?

地域新電力をお考えの場合、地域内の再エネ由来のFIT電気を買い取って供給することも検討されることも多いと思います。

発電事業者に売電先を旧一般電気事業者から地域新電力に切り替えてもらう場合(平成29年4月以降は、送配電事業者から再エネ特定卸供給を受ける場合)、ケースによって異なりますが、3か月~1年以上もかかることがあるため注意が必要です。これは、新電力への販売に対応した売電メーターが設置されていない場合、売電メーター等の交換が必要になるためです(発電量の30分値を保持し通信する売電メーターに交換する必要)。電源確保の時期が想定より大幅に遅れることのないように、早めに確認が必要です。

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この記事の著者

稲垣 憲治
稲垣 憲治
(公財)東京都環境公社 東京都地球温暖化防止活動推進センター (東京都 環境局 地球環境エネルギー部)
平成17年3月東京大学大学院修了(エネルギー工学)。同4月文部科学省入省、原子力計画課係長などを経て22年3月退職。同4月東京都庁入庁。ソーラー屋根台帳や屋根貸しマッチング事業、シティチャージ設置事業など自治体の新しい太陽光発電普及策の企画に従事。26年4月から(公財)東京都環境公社(都から派遣)。5か国10都市で先進都市の再生可能エネルギー普及策等を現地調査。
北橋 みどり氏
北橋 みどり
(公財)東京都環境公社 東京都地球温暖化防止活動推進センター 所属
NPO法人エコ・リーグ 代表理事、(一社)環境パートナーシップ会議 国際プロジェクトコーディネーター等などを務め、気候変動や国際交渉等に関連した数々のプロジェクト創出、国際ネットワーク構築等に携わった。環境省事業の委員や、外務省のNGO専門調査員等も務めた。2016年より現職。再生可能エネルギーの普及、新電力の立ち上げ・運営などに従事。
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