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地域新電力の地域経済効果 ~ 地域の利益を出す3つのポイント ~

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地域の再生可能エネルギーなどを電源として、地域を限定して電気供給を行う「地域新電力」の設立が全国で相次いでいます。一橋大学・朝日新聞等の共同調査では、自治体が出資等で関与するものだけで31社が設立済み、86自治体が検討中とされています。

この地域新電力を設立する自治体の多くは、エネルギーの地産地消により地域でお金を回すこと(地域の利益)を目的に掲げています。そこで、京都大学等のプロジェクトにおいて、地域新電力でどれだけ地域にお金が回るのか、定量的に分析を行いましたのでご紹介します。

地域新電力の「地域の利益」を算出

「地域でお金が回る」ことを分析する際の指標として、「地域の利益」(=「地域内企業の純利益」+「地域内居住従業員の可処分所得」+地方税」)を用いることとします。この考え方は、ドイツの研究所が開発した手法を日本に応用したものです。ドイツでは、この指標を用いて、自治体における事業の効果測定などが行われています。なお、よく耳にする「経済効果」は、新規需要を満たすために連鎖的に誘発される生産額の合計を産業連関表を用いて算出するもので、本研究の指標とは別物です。「経済効果」は国等の広域的な範囲に派生する「生産額」に視点をあてているため、事業ごとの「地域の利益」を算出することは難しいとされています。

本分析では、地域新電力として実際に小売電気事業を行っている(1)みやまスマートエネルギー株式会社、(2)ひおき地域エネルギー株式会社にご協力いただき、両社の年間の「地域の利益」の算出を行いました。

表 分析対象とした2つの地域新電力

事業概要
みやまスマートエネルギー(株)福岡県みやま市及び地域企業の出資により設立され、契約電力は約36MW(平成29年7月時点)と自治体が出資する地域新電力では日本最大級。約50名の従業員はほぼ全員が市内在住。自社で需給管理を実施するとともに、電気事業と併せ高齢者向け見守りサービスを提供。地域の住宅用太陽光発電余剰電力をFIT価格+1円で買取。
ひおき地域エネルギー(株)鹿児島県日置市及び地元企業・個人による出資で設立。契約電力約7MW。3名の地域在住職員を雇用。収益の一部を地域に寄付。現在、需給管理・料金請求は外部委託だが、今後、地域企業での実施を検討。地域の小水力発電事業を実施予定。

事業形態で「地域の利益」は大きく変わる

分析の結果、みやまスマートエネルギー株式会社の事業に係る年間の「地域の利益」は約1億円となりました(2017年度事業計画で算出)。地域経済付加価値に占める従業員の可処分所得の割合が75%と高くなっていますが、これは電気事業と併せ見守りサービス等の雇用を生む事業を多角的に実施しているためです。

また、事業形態による地域経済付加価値の影響を比較するため、仮に地域資本が10%のみで従業員が全て地域外に在住する場合(ケースA)を計算したところ、「地域の利益」は、実際の値(ケースB)の約10分の1となってしまうことが分かりました。

みやまスマートエネルギー株式会社の「地域の利益」

みやまスマートエネルギー株式会社の「地域の利益」

ひおき地域エネルギー株式会社の事業に係る年間の「地域の利益」は約900万円となりました(2016年度実績値で算出)。また、先ほど同様、比較のため仮に地域資本が10%のみで従業員が全て地域外に在住する場合(ケースA)を計算したところ、「地域の利益」は、実際の値(ケースB)の約9分の1となってしまうことが分かりました。更に、需給管理業務等を地域内で実施する場合(ケースC)を追加して分析したところ、「地域の利益」は、地域外企業に需給管理等を委託している実際の値(ケースB)より約40%上昇することが分かりました。

ひおき地域エネルギー株式会社の「地域の利益」

ひおき地域エネルギー株式会社の「地域の利益」


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