> コラム > 大切な「熱」の有効利用(ロンドンの地域熱供給から)
環境エネルギー都市 最新事例

大切な「熱」の有効利用(ロンドンの地域熱供給から)

 印刷 記事を保存

日本では、固定価格買取制度の開始や電力全面自由化など「電気」に関する話題が多く、エネルギーといえば「電気」に注目が集まりがちだ。しかし、地球温暖化対策やエネルギーコストの削減のためには、「熱」をいかに効率的に利用するが大きなカギを握る。欧州では、この熱エネルギーの効率利用のプライオリティは高く、地域熱供給を中心に各都市において積極的な取組みが展開されている。ここでは、昨夏訪問したイギリス大ロンドン市のイズリントン区、カムデン区、メートン区の取組みについて紹介したい。

大ロンドン市は、「2025年までにエネルギー供給量の25%を分散型エネルギーから賄う」ことを目標にしている。ここで、大ロンドン市の想定する「分散型エネルギー」の主力はコジェネレーションシステム(コジェネ)だ。コジェネとその熱を有効利用する地域熱供給の拡大を目標達成の柱にしている。

「熱」は「電気」と異なり、遠方への輸送が困難であるため、「熱」の有効利用のためには、地域内で熱需要と排熱をうまくマッチングさせる必要がある。そのため、広域自治体である大ロンドン市に加え、基礎自治体である区の役割も大きなカギを握る。

大ロンドン市は、市内の各区が地域熱供給に取り組みやすくなるよう様々な施策を行っている。まず、「ロンドンヒートマップ」だ。このマップでは、市内の主要な熱需要及び排熱の場所や、地域熱供給パイプラインがどこを通っているかが確認できる。更に熱需要ならホテル、学校、公共施設、商業ビルなどその建物種類が、排熱場所ならコジェネプラント、発電所、ごみ焼却施設などの排熱元の種類が確認できる仕様になっている。このロンドンヒートマップで、大ロンドン市の地域熱供給の全体像を(今後の可能性を含め)把握することができる。

このロンドンヒートマップは一般公開されており、利用者登録をすれば熱需要や排熱情報などを利用者自らが更新することもできる仕組みになっている。各区は(もちろん事業者も)、このロンドンヒートマップを区内の地域熱供給の参考にすることができる。

(参考)ロンドンヒートマップ

ロンドンヒートマップ(熱需要や排熱のある場所が分かる) ※画像でクリック拡大
ロンドンヒートマップ(熱需要や排熱のある場所が分かる)

また、大ロンドン市は、地域熱供給に関する技術的な注意点、接続の際の契約形態などを記載した地域熱供給マニュアルの公開や、専門家を派遣しての技術支援などを行い、各区が地域熱供給に取り組みやすいよう後押しをしている。そして、このような支援をした上で、各区に対し区内での地域熱供給の可能性を調査し、施策を立案することを求めている。

次ページ →独自のヒートマップを作成した地区も

1 2 3

この記事の著者

 印刷 記事を保存

環境セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.