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電力販売に自治体が乗り出す ~サンフランシスコ市の取組みから~

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カーボンフリー電力でサンンフランシスコ市内を走るMUNIバス(筆者撮影)

カーボンフリー電力でサンンフランシスコ市内を走るMUNIバス(筆者撮影)

日本では電力全面自由化を控え、様々な業種から電力市場への参入が表明されているが、自治体が大きな発電設備を所有していることはあまり知られていない。自治体所有の発電設備の主力はダム付帯の水力発電だ。発電された電力は、電力会社等に売電(卸供給)されているが、これは公営電気事業と呼ばれ、現在25都道府県1市が実施している。これらの設備容量は全国で合計2800MWを超えるから、小さくない数字だ。

一方、海外を見ると、ダム付帯の水力発電等からの電力を、電力会社等に売電するのではなく、市内需要家に自ら販売している自治体も見られる。ここでは、昨夏に訪問した米国カリフォルニア州サンフランシスコ市の取組みを紹介したい。

カリフォルニア州では、州法により次の2つの方法で、市が電力販売に関与できるようになっている。まず1つ目の方法は、市が公共電力会社(Publicly-Owned Utility : POU)を運営し、発電、送電、配電を一括で行う方法だ。カリフォルニア州では、サンフランシスコ市を含め約40程度の自治体が実施している。

2つめは、コミュニティ・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation : CCA)と呼ばれる手法で、市が家庭や事業者の電力需要を束ねた上で、電力供給事業者や電気の種類を選択するものだ。自治体が市内電力需要家の電力契約を代行して代替となる電力供給事業者と交渉する。CCAにより、自治体主導で再生可能エネルギーの比率の高い電力などを交渉力を持って購入することが可能となる。電力供給事業者が切り替わったとしても、送電・配電等はこれまでどおり地元の電力会社が行うのがCCAのポイントだ。カリフォルニア州では、2000年~2001年に発生した電力危機を受けて小売全面自由化が中断しており、家庭用電力は基本的に地元の電力会社からしか購入できない。そのため、市民への選択肢の提供等の観点からCCAが導入された。

サンフランシスコ市役所の一部局であるサンフランシスコ市公共事業委員会(SFPUC)は、公共電力会社(POU)として、これまで公共施設やMUNIバス(電力で走る路線バス)などに対し、電力の発電・送電・配電・料金請求を一括で行ってきた。発電元は市が所有する水力発電を主力とし、太陽光発電バイオマス発電をミックスした(広義の)再生可能エネルギー電力だ。現在SFPUCが市内に供給する電力量は、市内総電力需要の17%に達する。

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