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再エネ普及に向けた先進都市の取組み

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都市はエネルギーの大量消費地として、再生可能エネルギー普及にも積極的な役割を担うことが期待される。

これまで日本の各自治体は、平成20年に成立した「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、温室効果ガス削減に向けた計画を策定してきた。一方、東日本大震災後、各自治体では、単に温室効果ガス削減のためだけではなく、電力の安定供給の観点も加え、再生可能エネルギーに関する目標が多く掲げられるようになってきた。ここで、人口上位8政令指定都市の目標は次のようになっている。

計画名 再生可能エネルギーに関する目標
札幌市エネルギービジョン(26年10月) 再生可能エネルギー発電量は、主に太陽光発電の導入拡大により、平成34年度に発電量6億kWhを目指す。
注:6億kWhは2010年度市内電力需要の6.3%に相当
横浜市エネルギーアクションプラン素案(26年12月) 2020年度までに太陽光発電3.5億kWh、風力640万kWh、小水力520万kWh、廃棄物発電4億kWh、汚泥消化ガス発電4,600万kWh
注:合計約8億kWhとなり、2020年度市内電力需要予測の5.4%に相当
川崎市 地球温暖化対策推進基本計画(22年10月) 太陽エネルギー(太陽光・熱)利用量を2020年度までに30倍にする(2005年度比)。
低炭素都市なごや戦略実行計画(23年12月) 自然エネルギー(太陽光・風力)による発電設備容量37万kW、バイオマス活用 75,000t
京都市エネルギー政策推進のための戦略(25年12月) 再生可能エネルギーのエネルギー消費量に対する割合を2010年度0.6%から2020年度2.3%にする。
おおさかエネルギー地産地消推進プラン(26年3月) 太陽光発電の普及促進に力点を置き、2020年度までに府域で90万kWの太陽光発電の増加を目指します。
注:2020年度に約115万kWになり、府域の電力需要の約2%に相当 (本目標は大阪府・大阪市との共同策定)
神戸市地球温暖化防止実行計画(23年2月) 2020年度までに神戸市域におけるエネルギー消費量の10%以上導入
福岡市環境・エネルギー戦略(26年6月) 2030年度末に市内の再生可能エネルギーによる発電規模40万kW以上を目指す(2030年に再エネでの電力自給率約8%以上)

※表中の注記は筆者追加。川崎市、名古屋市は、電力需要量非公開のため再エネ割合を算出できず
 ※電力関係の数値目標等を抜粋

これを見ると、上記すべての都市は再エネの「市内への導入」に関する目標を掲げている。建物が密集しており広大な土地の少ない都市部では、風力発電バイオマス発電といった大きな電力量が期待できる再エネ設備の立地が困難なことが多い。そのため、再エネに関する目標は、どうしても公共施設への導入を含めた太陽光発電の設置が中心となる。そして、「市内への導入」だけでは、本質的な意味で重要な「自治体の消費電力(又は熱なども含めた消費エネルギー)に占める再エネの割合」に換算すると数%程度と小さいものとなってしまう。

一方、欧州では、都市部の自治体でも「消費電力に占める再エネ割合」をベースとした野心的な目標を設定している。その目標設定が可能な理由は、自治体が出資する都市公社が適地の少ない「市内」にこだわらず、適地のある「市外」で再エネを開発し、その発電量を自治体が定めた目標に参入するスキームを組んでいるためだ。ここでは、昨夏に訪問したデンマークのコペンハーゲン市とドイツのアーヘン市の事例について紹介する。

コペンハーゲン市では、2025年までに市内電力需要量を超える再生可能エネルギー電力を生み出すことを目標としている。つまりは電気の100%再エネ電力化だ。

この目標達成のため、コペンハーゲン市は、HOFOR社(エネルギー上下水道公社)とともに風力発電100機(合計設備容量360MW)を開発するプロジェクトを実施している。市がHOFOR社の風力投資部門に出資してオーナーシップを持つとともに、信用保証を与え、HOFOR社が実際に風力発電への投資を行うスキームだ。

次ページ →採算性の高い「適地」のある市外で再エネ開発

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