2020年末、記録的寒波の到来が引き金となり、卸電力取引価格が急騰した。価格高騰の舞台裏では何が起きていたのか、また電力業界にどのようなダメージがあったのか。再エネ電力事業の最前線で立上げ・運営をリードした小嶋 祐輔氏が当時を振り返り解説する。(連載第2シリーズ第1回)
LNGの在庫不足を発端とした、年末年始の供給力不足・市場高騰
2020年末、卸電力取引市場の価格が急激に高くなる事象が発生した。火力発電所の燃料となるLNG(液化天然ガス)が11月頃より在庫不足となり、供給が減少した。
それにより、燃料をセーブするため、発電を止める発電所が増え、結果的に卸電力取引市場の売り入札が減少し、それが発端となったものであった。12月中旬には強い寒波が日本に到来したことでLNGの消費が進み、例年なら価格水準が落ち着く年末年始においても高騰は続き、3が日を超えたあたりから、さらに市場価格は上がり続けた。