連載「再エネビジネスの視点で捉える電力業界における最近の注目動向」第13回。2017年、小売電気事業者の高度化法達成の手段として「非化石価値取引市場」が開設された。その意義や事業者に与えた影響、2021年度に増設された経緯はどのようなものだったか。再エネ電力事業の最前線で立上げ・運営をリードした小嶋 祐輔氏が解説する。(バックナンバーはこちら)
今回から2回にわたって、2017年度に開設し、2021年度に増設された「非化石価値取引市場」の変遷と、それが事業者に与えてた影響について説明していていく。昨今では、非化石価値の取引は小売電気事業者を介してではなく、需要家が直接行えるようになってきている。小売電気事業者だけではなく、電力を買う需要家やアグリゲーター、発電事業者にとっても、複雑に変化するこの市場動向を把握することで、非化石価値取引検討の一助にしてもらいたい。
再エネ比率向上と需要家のニーズの両立を模索した市場設計
非化石価値取引市場は2017年に開設され、その目的は小売電気事業者の高度化法達成の手段としての意味合いが強かった。