連載「再エネビジネスの視点で捉える電力業界における最近の注目動向」第10回。2020年度冬の供給力不足などを受けて、2028年頃をめどに同時市場の導入が検討されている。それに向けて議論すべきことや事業者が気にしておくこととは何か。再エネ電力事業の最前線で立上げ・運営をリードした小嶋 祐輔氏が解説する。(バックナンバーはこちら)
前回に続き、現状の課題解決への議論が、今後の電力業界の動向を左右するルール作りに影響を与えるということを念頭に、どういった論点があるのかを整理する。再エネビジネスを展開していく上での参考・理解に繋げてもらいたい。
小売事業者と送配電事業者の供給力の取り合いをなくす同時市場の導入検討
前回触れた通り、小売電気事業者と送配電事業者の間の供給力の取り合いをなくす制度が検討されている。現在「同時市場の在り方等に関する検討会」にて議論されている、同時市場の導入だ。現在、2028年頃をめどに一般送配電事業者の中央給電システム(送配電事業者が需給管理をする際に用いる、エリア全体の需給バランスを確認・制御できるシステム)の統合が予定されており、そのタイミングに合わせた導入が検討されている。