「電気の供給が足りない」、一方で「発電して電力供給すると逆ザヤになってしまう」。2021年1月、当時、電力市場は供給不足と逆ザヤのジレンマに陥っていた。市場関係者はこのジレンマをどう解決していったか。再エネ電力事業の最前線で立上げ・運営をリードした小嶋 祐輔氏がポイントを解説する。(連載第5回、バックナンバーはこちら)
市場への供給力切れの抑止策としての入札方法の定義替え
2021年1月の市場高騰の影響は発電事業者が市場で売り入札をするにあたっての、ある決まりについての議論を呼び起こした。原油やガス、石油製品、電力などを随時に取引するスポット市場。その時々の環境や需給を勘案しながら売り手と買い手が相対で値決めをする市場だ。この電力スポット市場に対して、発電事業者が入札によって電力の販売価格を決める際の、価格の決め方(限界費用の定義)が議論の対象となった。