連載「再エネビジネスの視点で捉える電力業界における最近の注目動向」第14回。非化石価値取引市場は、再エネ価値取引市場、高度化法義務達成市場(再エネ指定なし/あり)の3つに分かれている。課題となっていることや、さらなる細分化が懸念される理由とは何か。再エネ電力事業の最前線で立上げ・運営をリードした小嶋 祐輔氏が解説する。(バックナンバーはこちら)
前回に引き続き、非化石価値取引市場について解説する。需要家側のニーズに合わせる形で、価値の体系や市場が多様になったが、それにより、それぞれが市場を形成するほどの規模にならない課題が発生している。電気を使う人の再エネ価値の調達方法や、小売電気事業者の皆さんが非化石価値取引の方針策定をする上で一助にしてもらいたい。
上限値・下限値に張り付く市場価格
現在、非化石価値取引市場は、(1)再エネ価値取引市場(FIT電源から出てくる非化石価値を取引する市場)、(2)高度化法義務達成市場(再エネ指定なし)、(3)高度化法義務達成市場(再エネ指定あり)の3つに分かれている。高度化法義務達成市場は、非化石価値のある電源からの電力調達を義務付けられた事業者が、義務達成のために非化石価値を調達できる市場である。