連載「再エネビジネスの視点で捉える電力業界における最近の注目動向」第11回。2016年の電力小売全面自由化を経て、新規参入事業者の販売電力シェアは20%を超えたが、供給力確保の課題は残った。そのような状況の中、容量市場導入の検討が行われ、2020年に初回のオークションが実施された。その結果と課題について、 再エネ電力事業の最前線で立上げ・運営をリードした小嶋 祐輔氏が解説する。(バックナンバーはこちら)
今回より2回に分けて、2020年度よりオークションがスタートした容量市場の導入の背景と、事業者に与える影響について説明していく。小売電気事業者にとっては、純粋には負担増となるが、工夫をすることで差別化につながる。また、発電事業者やアグリゲーターにとっては、自社の機能を小売電気事業者に提供することで、収入増や新事業参入が可能となる。これからの事業戦略につなげるべく、参考にしてもらいたい。
発電所の維持、新設の電源への投資を呼び込むための制度導入
2000年の電力小売自由化スタート、さらには2016年の全面自由化を経て、多くの事業者が電力小売事業に新規参入し、そのシェアは販売電力量ベースで20%を超えるほどにまで至った。この連載でも過去に述べたように、すべての小売電気事業者が供給する電力に対して必要となる発電所や燃料を確保するための制度設計には、課題があった。