電力自由化・地域エネルギープロジェクト研究員 村井哲之の実践日記

(第18回)学びの場を通して、縁が生まれ、事業を創出する(2ページ目)

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コンソーシアムの理事メンバーには、太陽光発電をSPCではなく、大手信託銀行が購入する信託商品のレベルにまで仕上げられる社長がいます。 こうなると、これまでとは逆で、屋根を貸す相手がこれから20年間安泰なのかの話になり、立場が逆転します。屋根に一切傷を付けずに パネルを設置できる(特許取得)社長も理事のメンバーです。FITの買取価格が今より低下しても 十分採算が取れる施工技術と部隊を持った理事もいます。風力に自社で200億円の投資を考えている経営者も・・。

彼らと一緒に動けば、これまで構想だけを話して賛同いただいていた昔のお客様を「お待たせしました!」と言って訪問し、仕合せ(幸せ) に出来る様になります。

そんな幸せに浸っている時に、新たなセレンディピティはもたらされました。投資余力など全くない中、事業構想大学院大学プロジェクト研究に投資をしたことを 責めるでもなく、ずっと見守ってくれていた人がいました。私の会社の株の大半を持って頂いているグループの持ち株会社のトップです。 2月の初めに事業報告に行き、今後はバイオマス発電事業をやりたいとの相談をしました。

そのため「『廃棄物最適化事業』『節電所建設事業』に注力したいのですが、どちらも収益化するまでに1年掛かります。とてもそこまでの投資をお願いできる立場にないので、かくなる上は自らが 会社を立ち上げ、リスクを取って事業を行う覚悟を固めました」と伝えたところ、ホールディングスの社長は自ら席を立ち、書棚から1冊のファイルを 取り出して来て、私の目の前で開きました。

「村井さんは、バイオマス発電がこれからは有望だと大学院で学んだんですよね。そして、本気でやりたいんですよね」「じゃ、ここに22万坪の ホールディングスが持っている釧路の土地があります。これを預けますから、北海道に貢献する再生可能エネルギーのビジネスを立ち上げてください」 「北の大地に先進の経営感覚を持って事業を立ち上げ、エネマネ業界に名を残してください」正直、唖然としました。

私が、どんどんバイオマスビジネスに引きずり込まれていく姿を端からずっと見てくれていたのだと思います。私にはありがたくも重すぎる話でしたが、 その時の私には、大学院で交わった最高のメンバーが仲間として控えてくれていましたので、考えるまでもなく「やらせてください。ありがとうございます」と言い、 早急にその場を辞しました。それは、一刻も早く土地の情報が記されたファイルを持って行きたいところがあったからです。

その日の夜には、コンソーシアムの理事長に無理を言って同行いただきこの件に関して最も知見と人脈を持ち、既に近くの網走市と一緒に再生可能エネルギー事業を進めているコンソーシアムの理事の所に 行きました。1ヶ月以内の「事業計画」創りの打ち合わせを、その日の午後10時までしました。2つ目の大変大きな『セレンディピティ』に出会いました。大学員での 『交わり』があったが故の必然だった気がします。『しかしまだ、「セレンディピティ」は続いたのです。それも思わぬ方向への展開で・・・・。』

事業構想大学院大学 ガス・電力小売・地域エネルギー事業構想
~地域でエネルギー事業を興すプロジェクト研究~
研究員募集中(4月開始)
地域経済と環境に貢献する地域エネルギー事業を構想する。2016年4月の電力小売全面自由化、固定価格買取制度(FIT)を活用した発電事業、地域資源であるバイオマス、風力、水力、太陽光、地熱などを用いた永続的な再生可能エネルギー事業を模索する。自社の経営資源、地域資源を活用すべく捉え直し、理想の事業を実現するための実践的研究会。全国より45社の企業幹部が参画中。

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